PC関係独り言・2003年2月14日〜9月23日

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2003年9月23日

7月23日のねたで、「W2のHDDは3.3V駆動品が用いられており、HDDが死んだら修理しかない」と書きましたが、実はこれは40GBのみで、60GBのHDDは通常の5V駆動品が使われているようです。すなわち、HDDが死んだ場合、普通に売られている2.5インチHDDを買えばとりあえずは使えるようになるようです。
しかしこの5V駆動の60GB-HDDをつけるとバッテリ駆動時間が30分くらい短くなるようで、バッテリ持続時間を考えた場合、結局修理に出して3.3V駆動の40GBにしてもらう必要がありますなあ。容量取るか、バッテリ持続時間を取るか、なかなか悩ましいところではあります。

[2]4年越しの完成形

こみっくパーティーDCE（以下DCE）はDreamcast版こみっくパーティーをWindows用に逆移植したもので、以下のような変更が加えられています。

[1]音声のビットレートが上がった
[2]同人誌作成方法が変わった（方向キー入力→キータイプ）
[3]メディアがDVD-ROMになった

[1]の音声のビットレート向上については、DC版での音割れことがあるほど低いビットレートはやはり不評だったようで、今度は音割れは一切起こりません。これがあるべき姿ですが、やはり音割れはいかんですなあ。

[2]の同人誌作成は、方向キーを回すのは「難しい、うまくいかない」と不評だったのか、それともWindowsマシンに必ずコントローラがついているとは限らないことへの措置なのか（多分両方）、方向キーをまわす方式からキータイプに変わりました。キータイピングゲームの要領で表示されたテキストをキーボードで入力して行き、ミスなく速く打てれば同人誌クオリティが上がり、逆にミスが増えるとどんどんクオリティが下がっていきます。なお、入力するテキストは作成する同人誌のジャンルに影響された単語に変わります。ギャルゲーなら「幼なじみ」とか「お嬢様は魔女」とか（自社だからいいのか）、ヒーローなら「3分間しかいられない」とか。

ところが、このキータイプになって同人誌作成がえらい簡単になった気がします。ゲーム開始直後の４月の状態で、２４ページ表紙フルカラーでも下手すると最初の１週間で完成し、表紙までできてしまいます。入稿日までの余った時間はアルバイトなどで過ごすことになり、初こみパにしていきなり700部発行などということも可能です（実際には200部前半くらいしか売れなかったりして、由宇にどやされたり千紗坊に同情されたり。。。）しかし、8月こみパまでに500部以上売らねば事実上ゲームオーバーになるため、むしろこっちのほうがありがたい？

ほかには、このゲームは解像度がVGAサイズのままですが、どうせDreamcastから移植するのならSVGAサイズに変えるくらいの工夫はほしかったなと思います。今回最大の不満点でしょうか。あと全体的な動作がやや緩慢で、動作が重く感じることもあります。

このように、ユーザの不満点の多くを解消したDCE、これでようやくこみパも完成形になったかなという気がします。初代のWin版が発売されてから実に4年、ようやくというか、えらい引っ張ったというか、年末には新OVAが出るようで、スタッフにはベテランどころを起用するとか何とかで、今度は御影すばるも登場するようです。まだまだ話題の尽きないこみパですが、とにかくこのOVAにも期待です。また制服由宇出ないかなあ（またそれかよ）前の高校生設定のOVAは結構好きだったんですが、新版の設定はどうなるのかしら。

Aquaplus/Leaf関係でいうと、雫リニューアルが出るようで、結局LVNS1-3は全部リニューアル（ToHeartはPSEで事実上のリニューアル）されることになります。絵柄は痕リニューアルのようなタッチであるようです。これもどうなるのか気になります。

[3]国産パーソナルコンピュータの黄昏

考えてみると、国産アーキテクチャのPCで、このように実に21年間も続いたのは前にも後にもPC-9800シリーズのみといってもいいでしょう。世界的に見ても、このような長期にわたって存続しているPCアーキテクチャはIBM PC/AT互換とApple Macintoshくらいしかありません。 思えばPC-9801が全盛期のころは、今からは考え付かないくらい性能が低く、そして本体や周辺機器が高価な時代でした。80286-10MHz＋メモリ640KBの装置が定価50万円を越えていたり（VXやRXなど）、2MBの増設メモリボードが5万円などと、現在とは単純に比較できませんが当時でも高価だなと感じるものでした。PC-8801シリーズの一部やFM-7/77AVなどはパーソナルコンピュータとしては20万円台と当時としてはかなり安価でしたが、PC-9801は価格が40-70万円と、「パーソナルコンピュータは高価である」という認識が一般的でした。

この時代は国産アーキテクチャ全盛期で、並べてみるだけでもPC-8801/9801、FM-7/77AV、MSX、X1Turbo、MZ2500など、さまざまな国産の独自アーキテクチャを採用したパーソナルコンピュータが存在し、ひしめき合っていました。思えば、このころのパーソナルコンピュータには「夢」があり、各社さまざまな「夢」を乗せ、またパーソナルコンピュータで何でもできると考えられていた時代にあって、各社のエンジニア達は魂のこもった製品を開発し世に送り出してきました。

しかし、そんなエンジニア達の「夢」や「理想」がこめられたすばらしい国産アーキテクチャ、ある程度のコストを度外視しても作り上げた頑丈な実装構造を誇るパーソナルコンピュータを作ってきた大手電機メーカ達（松下電器、日本電気、東芝、富士通、日立製作所、ソニー、三菱電機、etc.）は、現在世界的な競争にさらされて、また「内なる敵」に悩まされまさに「内憂外患」の状態です。社員のやる気を削ぐ不合理だらけの成果主義、内向きの仕事しかしない管理職、過剰な人員削減による慢性的な残業、「業績が悪いのは社員が働かないからだ」と平然と言ってのける経営者、地元をまったく顧みない地方工場の大リストラ、大組織で完全なる縦割りの官僚体質、製品の低品質・低信頼性化、設計開発部門の子会社化・または下請けや子会社に開発丸投げによる技術の流出や本体会社のメーカとしての形骸化など、これらがすべて大手各社に当てはまるわけではないにしても、似たような問題をどこも抱えていて、はっきりいって日本の大手主導の情報技術産業は岐路に立たされています。情報システムや大型計算機ではIBMが巻き返し、パーソナルコンピュータやＩＡサーバではDELLやHewlett Packardの安値攻勢とぶつかり、世界市場ではブランド力の低さや歴史の浅さからIBMやEDS(Electronic Data Systems)、Hewlett Packardなどの歴史ある米大手企業とは勝負にならず「内弁慶」などと馬鹿にされ、まさに存亡をかけた戦いを強いられています。国内外で高いブランド力を誇る「優等生」のソニーでさえも業績が悪化し、何とか建て直そうともがいています。

さて、日本のパーソナルコンピュータは今後どうなるんでしょうか。同じ業界で工場労働者という身分で身を置く端くれとしてそんなことを物憂い顔で思いつつ、今月３０日、PC-9800シリーズは２１年間という長い、長い歴史に幕を閉じます。

※ファクトリオートメーション用途のFC-9821シリーズ（FC-9821Ka）は2004年1月末で供給終了とのことで、本当に98アーキテクチャが消滅するのは来年初頭になります。FC-98側で何とか22年目を迎えることはできたようです。

[4]大技再び

これがMAXX動作し、実際に店頭に並ぶのならば買わねばならないんですが、どうなるのかなあ。

2003年7月23日

一部のroad warrior達から高い注目を集めていたLet'sNoteW2ですが、私も購入して一ヶ月ほど経ったので、その使用感などを述べてみたいと思います。

Let'sNoteW2(以下W2)は松下電器産業が出した2スピンドル形ノートで、intel Centrino Mobile Technology(Pentium M+855GM+intel Pro Wireless/2100 Network Connection)に準拠したモデルになっています。主な仕様は以下の通りです。詳細な仕様は、松下電器・Panasonicの「商品ラインナップ」＞「パソコン」からたどってご覧ください。

プロセッサ	超低電圧版Pentium M900MHz
メモリ	PC2100-CL=2.5 DDR-SDRAM オンボード 256MB(MicroDIMMでメモリ増設、最大512MB)
グラフィック	82855GM Graphics controller
HDD	東芝 MK4020GLS
光学ドライブ	松下 UJDA747
OS	WindowsXP Professional+ServicePack 1
LCD	最大解像度1024×768、12.1インチ
Sound	Sigmatel STAC9767
LAN	Realtek RTL8139+intel Pro Wireless/2100 Network Connection
カードスロット	PCMCIA TypeII×1、SDカードスロット(SD I/O非対応)
重量	1.29kg

このW2の特筆すべきはその重量で、2スピンドルでありながらわずか1.29kgという軽量を実現しています。これはドライブをパームレストに直接埋め込むという「荒技」を使って実現されていて、「1.7kg以下のノートは大抵が1スピンドルで光学ドライブがついてない。しかし光学ドライブはほしいが、その場合外付けになるか、諦めて2kg程度の2スピンドルノートを買わねばならん」という不満に見事に応えた形になっています。私もそんな現状に不満を抱いていた人間の一人で、W2はまさにそんな人々にとって願ってもない製品です。

しかし、今までそういった願望を実現する装置がないわけではありませんでした。富士通のFMV LOOX Tシリーズは光学ドライブ内蔵(ベイスワップ可能)で、重量も1.5-1.6kg程度と確かに条件を満たしていました。しかしLOOX T最大の弱点はプロセッサがCrusoe(TM5800)であることで、その構造上立ち上がりの動作が遅く、体感速度としてはTM5800-800MHzでMMX Pentium266MHz程度とかなり遅いものでした。バッテリ持続時間が長くても待ち時間が長く、結果的にPentiumIII-M搭載装置とあまり変わらないのではないかという指摘もありました。

2003夏モデルのLOOX TであるT90D/T60DはCentrino Mobile Technology準拠になり、ULV-Pentium M900MHz/Mobile Celeron600AMHzを搭載して一気に処理速度が上がりましたが、その代償かちょっと厚ぼったくなり、重量もドライブ内蔵で約1.75kgと少し増してしまいました。ちなみに最上位モデルの真っ黒版(T90D)は富士通らしくない結構見栄えのいいデザインをしており、店頭販売もさることながら社員販売でも大人気で、生産が追いついてないくらいだそうです。

わき道それはこれくらいにして、本題のレビューに入って行きたいと思います。

[1]LCD

LCDの最高解像度は1024×768で、モバイル用途として使う解像度としては問題ない広さです。画質に関しては、このLCDの特性なのか少し発色が白い感じです。あとやや視野角が狭く、見る角度を少し変えると色が白っぽくなったりします。この視野角の狭さは電車の中で座って使うときなどに結構影響してきて、パネルをある程度倒さないとよく見えなくなります。これでパネルを倒すと乗客に画面が丸見えになりそうになったりして、ちょっと不便さを感じます。プライバシーフィルタをつければよいのですが、なんか売ってないんだよなあ。。
応答速度は公表されていませんが、画面をスクロールさせても残像はほとんど発生しません。格闘ゲームも問題なく視認できる速度で遊べたため、応答速度は結構速い部類のパネルなのではないかと思います。

[2]キーボード

キーボードのタッチ感はこの手の軽量ノートによくあるストロークが短くて軽い感じで、私自身の趣味としては嫌いというわけではないが、かといって好きというわけでもありません。軽量ノートの宿命として、まあしょうがないかと思っています。

キーピッチは19mmとこのサイズのノートとしては広めで、結構打ちやすい部類です。しかし問題なのはキー配列で、Page UpとPage Downが方向キーの近くにあり(下図参照)、方向キーを押そうとするとよく押し間違えてしまいます。

 PgUp↑PgDn

  ← ↓ →

[3]重量、本体の剛性など

重量は約1.3kg弱と、光学ドライブ内蔵としては最軽量のレベルであるといえます。鞄に入れても重さはさほど気になりません。逆に言うと、鞄に「気軽に」投げ込んで苦なく歩ける重量の上限は、大体1.5kgくらいまでではないかと思います。ThinkPad T21のような2.5kg程度のA4フルサイズノートを持ち歩いている知り合いもいますが、さすがにこういう人は日本ではあまり多くないでしょう。逆に米国だと、これくらいでも平気で持ち歩くみたいです。。

本体は結構がっしりとしていて、軽量ノートにありがちな華奢さはありません。30cmの高さから落下しても壊れないような設計にしたとかいう話で、本体装置の頑丈さにも注意を払った設計になっているようです。ところが、同時発表のCentrino Mobile Technology準拠なLet'sNote R2は、LCDパネルの縁が弱いのか手で押してみると押した部分の画面が変色したりします。これにはちょっと驚きました。

ちなみにW2は完全ファンレスで、ディスクアクセス以外の音は全くしません。最近猫も杓子もファンレス、静音化などと費用対効果が高くない趣向が好まれていますが(雑誌などのPC系メディアが勝手に騒いでて、それにユーザが乗せられてるだけともいう)、そういう人はW2に限らずノートやメーカ製デスクトップ装置を使うべきであるといえます。組立のデスクトップ装置で性能をある程度でも維持した静音化なんて、筐体レベルから設計がなされたメーカマシンにはまず勝てません。

[4]性能、その他

Pentium MはプロセッサのコアはPentiumIIIベース、FSBはNetburst(Pentium4)ベースとなっており、Intelプラットフォームでは「理想的」なアーキテクチャを取っています。そんなわけで、とりあえず一番わかりやすい例としてSuperπ104万桁をとってみたら、以下のようになりました。比較用として他のプラットフォームのデータも入れておきます。()内はチップセットです。

W2:Pentium M900MHz(855GM)	1:36
Pentium M1.3MHz(855GM)	1:04
Xeon2.4GHz/FSB533MHz(E7505)	1:04
PentiumIII1.0BGHz(840)	2:02
AthlonMP2400+/2GHz(AMD-762)	1:10
AthlonXP1700+/1467MHz(RadeonIGP)	1:24
AthlonXP1700+/1467MHz(nForce2-SPP)	1:12
Opteron244/1.8GHz(AMD-8131)	0:49
Athlon1GHz/SlotA-K7(AMD-751)	3:04

水色がW2での結果ですが、他のプラットフォームと比較しても、クロックあたりの処理速度ではPentium Mは非常に優秀といえます。1分30秒台という数字は、Pentium4だと1.6GHzくらいじゃないと叩き出せません。余談ですが、Pentium MはE7501と組み合わせてブレードサーバなんかに使われることがあります。これはPentium MのFSBがXeon(Pentium4)との互換性が非常に高いことの証拠といえます。

855GMに統合されているグラフィックは3D性能としては見るべきものはありませんが、以前のような貧弱な統合グラフィックに比べると明らかな進化が見られます。試しにゲームを走らせたところ、以下の作品で動作やフレームレートに問題ないことを確認しました。

・Melty Blood
・Party's Breaker(インストールマスタのドライバはNG、intel最新ドライバでOK)
・えあふり
・Queen Of Heart'99
・Glove on Fight
・こみっくパーティーDCE
・バトルへーちょ

ゲームが偏りまくっているという指摘もありそうですが、そんなもんは無視します（待て）プログラミングに関して、商業ゲームほど洗練されていない同人ゲームがこれだけ動けば大したもんでしょう(こみパDCEは商業ゲーだけど)でも最近、商業と同人でレベルが逆転してる作品が増えてるのも事実なんだよなあ。

HDDには、東芝のMK4020GLSが採用されています。容量は40GBで、一般的なモバイル用途として使用するには余裕がある容量です。しかし、このHDDは通常の5V駆動ではなく3.3V駆動で、HDDが死んだ場合市販されている2.5インチHDDを使うことができません。これは事実上特注品であり、死んだ場合そのまま修理行きとなってしまうのが苦しいところです。転送速度はこんなもんです。

 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★ 

M/B Name      

Processor    897.75MHz[GenuineIntel family 6 model 9 step 5]  

VideoCard   Intel(R) 82852/82855 GM/GME Graphics Controller  

Resolution  1024x768 (32Bit color)  

Memory      514,544 KByte  

OS           5.1 (Build: 2600) Service Pack 1  

Date        2003/07/21  20:47  



Intel(R) 82801DBM Ultra ATA Storage Controller - 24CA

プライマリ IDE チャネル

  TOSHIBA MK4020GLS



Intel(R) 82801DBM Ultra ATA Storage Controller - 24CA

セカンダリ IDE チャネル

  MATSHITA UJDA747 DVD/CDRW



   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw

  6356        0       0        0       0        0           0



Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write   RRead  RWrite  Drive

        0      0       0       0   19143   19143    5944    6617  C:\100MB

これはデータがいろいろ入った後に取ったものですが、リカバリ直後に取ったデータだとRead/Writeが22MB/sくらい出ていました。2.5インチHDDの速度としては十分な部類です。

あとはこのW2にはDsub15のコネクタがついており、液晶プロジェクタに接続したりするのには非常に都合がよいです。プレゼンテーション用としての用途も考慮してあると思われ、ビジネスマンの出張用にも使える仕様です。コネクタといえばSDカードスロットもついていますが、私の用途としてはこのスロットはずっと使われないままなんじゃないかと思ってます。

メモリはMicroDIMMでなおかつDDR-SDRAMという代物で、探すのが現状だと割と大変です。メルコやIOデータなどから出ていますが、私が探したときには全然見当たりませんでした。しょうがないので、SONYのVAIO-U101用DDR MicroDIMMがバルクとして売られていたもの(256MB)を購入しましたが、SO-DIMMのように潤沢に出回るのは結構先なんじゃないかと思います。ひょっとしたら高値安定かも？

光学ドライブはDVD-ROM/CD-RWのコンボドライブで、DVD-ROM8倍速、CD-ROM読み込み24倍速、CD書き込み16倍速、CD-RW10倍速というスペックになっています。モバイル用としてではなく、デスクトップ用としても十分実用的な性能です。埋め込み型という形状の都合上か、ドライブにメディアを入れて読み込むとパームレストに振動がきます。気になる程のことでもありませんが、ちょっと変な感じです。

ポインティングデバイスはタッチスライド式ですが、W2やその他Let'sNoteの特徴としてこのタッチスライドが円になっており、その周辺をなぞりながら回転させるとスクロールするという点が挙げられます。これが結構やみつきになり、タッチスライドの他機種でもついやってしまうくらいです。

最後にバッテリについてですが、本体付属バッテリで公称7.5時間となっているものの、実質5時間程度ではないかと思います。AirH"カードを使って通信していたりすると結構バッテリを消費するようで、使っているとバッテリ残量がAirH"カードを使わないときよりも明らかに減っていきます。あとはゲームなんかをやってもやはり減りが進みますが、これについては予備のバッテリを買ってきて解決？です。しかし、性能から考えれば、従来のノートより明らかにバッテリ持続時間は長いといえます。

[5]総評

今回、ここのページでは初めてノートのレビューをやりましたが、W2の満足度は非常に高いものでした。キーボードの配列が気に入らないこと、LCDの視野角がやや狭いこと、HDDが専用品で代替品がないことの３点が減点対象ですが、それらを無視できるくらいの魅力があります。1.3kg程度と非常に軽いこと、軽いわりに装置の剛性は高いこと、光学ドライブ内蔵であること、Pentium Mなので処理速度は高いこと、バッテリ持続時間が長いことなど、モバイルノートとしてはかなり高い点をつけられます。今後このようなノートの選択肢が増えると、モバイルノート市場は更に面白くなりそうです。

ところで、これにAirH"カードをつけると「鬼に金棒」で、休日は持ち歩いて電車の中でネットをしながら使ったり、喫茶店で休憩がてらノートを開いて作業をしたりしています。平日は通勤時間がさほど長くないので持ち歩きませんが、休日になるとかなり活躍します。

しかし個人的には、何よりもどこでもゲームができるという点が非常に大きいんですが（待て）これなら、実家に帰る新幹線の中でも全く暇しなさそう。。

2003年6月16日

国産一般向けPCゲーム(以下一般PCゲー)の凋落ぶりは見ていられないくらいひどい有り様になっていて、ほとんど「死に体」といっても言い過ぎではない状況にまで来ています。まともに作品を作っている体力がある大手どころといったら、

・Falcom(でもここ４〜５年は移植だらけだなあ)
・光栄(もはやマニア以外ついてこられない気がする)
・SEGA PC(そもそも今SEGA本体がまずい予感、いや確信が)
・工画堂スタジオ(実は戦前から操業する、９０年近い歴史がある会社だったりする)

くらいです。PC-9801/X68000/FM-TOWNS/MSX2など国産アーキテクチャPC用ゲーム全盛期のころは、あまたの有力・人気ソフトハウス(マイクロキャビン、グローディア、ライトスタッフ、SystemSoft、Bothtec、アスキーなど)がひしめき合っていたんですが、その多くはPCゲームから撤退したり会社自体が倒産したりして、PCゲーム業界から姿を消していきました。勿論今でも作品を出し続けている会社もあり、スクウェアやエニックス、コナミのような「出戻り組」もいますが、それもほんのごくわずかです。

PCゲーム雑誌で有力誌のひとつだった、角川書店のコンプティークがかつてはエロゲー記事が袋とじになっていたのに、今では逆に一般ゲーム記事の扱いが昔のエロゲー並の記事数になっているというのが、国産PCゲー世界の現状を如実に表している気がします。書店や秋葉原などにあるコンピュータ関係書籍専門店を見ても、PCゲーム雑誌は９割以上がエロゲー系です。

反対にエロゲーはもはや「氾濫」ともいえる状態で、それこそ有象無象のソフト会社や作品が濫立しています。その中で、古くからの有力者Alicesoftやelfなどをはじめとして、Leaf/Aquaplus、F&C、age、Keyを筆頭としたVisualArt's系、ねこねこソフトなどが大手、もしくは人気どころになってます。でもその割に、エロゲーにはならないギャルゲーは意外と少ないんだよなあ・・・って、これも一般ゲーの範疇か。

そんなわけで、かつてPCゲームの店頭並びの比は一般ゲー：エロゲー＝４：１くらいだったのが、店舗にもよりますが今や１：５くらいになっていて、一般ゲーを探す方が難しいという由々しき事態になってます。しかし、エロゲーもこんなに氾濫していると、そのうちアタリショックじゃないですがどこかで破綻が始まり、国産PCゲー自体がまずいことになりそうな予感がします。といっても、家庭用ゲームも氾濫が大分前から進んでるから(ファミコン末期くらいから？)、対象年齢やユーザ層が違うだけで、ほとんど状況に差はないか。

いつも通りの無駄っぽい長い前振りはこれくらいにして、そんな中、二次創作の世界、要するに同人の世界では同人ゲームが非常に元気です。Queen of Heart'99の大ヒットで同人ゲー世界の大御所になった渡辺製作所(現在は渡辺製作所としての活動停止中)、同人ゲームながら同人世界で二次創作され、ついにはアニメーション化まで決定してしまったほどの大人気を博しているTYPE-MOON(同人活動は終了し商業世界へ)の月姫シリーズなど、商業用ゲーム顔負けの作品がいろいろと存在します。この世界はX68000に良作が多かったのですが、今はWindows用で2Dから3Dまで幅広く存在します。値段も商業ゲーよりずっと安いので、下手な商業ゲー買うよりいいかもしれません。むしろ、同人ゲーのほうがレベルが高いことも最近だとままあります。

というわけで(ここからようやく本題)、最近遊んでみた同人ゲーのレビューでもやろうと思います。いずれも即売会に行かずとも、同人誌委託販売店で入手可能です。

[1]渚 de ぱにっく(ちんちらソフトハウス)

題材はCLANNAD(Key、未発売)で、ゲーム内容はいたって簡単で、障害物を避けたり敵を踏んづけて倒したりしながらひたすらステージを下に降りていって、最終階に着けば面クリアです。階のカウントの方法が「逆」になっていて、階は上にいくほど増えますが、このゲームの場合は下がるほど増えていきます。２人プレイも可能で、「逆アイスクライマー」といったところでしょうか？アイスクライマーとの違いは、下に降りすぎて台に着地できず落下すると「死んで」しまいます。
ステージは１〜８までありますが、各ステージにまた６段階のステージがあります。ここでステージ１の第１段階をステージ１−１と便宜上名前をつけたとすると、この１−１では２０階降ります。次の１−２では３０階、１−３では４０階、・・・といった感じで、進むほど降りる階数が増えて敵や障害物も増えてきます。つまり、面数は全部で４８面あることになります。ちなみに、Ｘ−６では降りる回数が無限になり、「耐久モード」さながらになります。

これが単純なようで実はなかなか手ごわく、最初の方は簡単なんですが進むにつれてかなり慌ただしくなります。しかも降りる階数が増えてその慌ただしさが続くため、そのうち「苦行」になってきます(笑)私もまだ全面どころかステージ２−３までしか終わってません。ちなみにゲーム自体は苦行とは書いたものの結構面白いです。

操作性に関しては、そもそも方向キーの左右とボタン１個のジャンプしか使わないため、いいも悪いもありません。反応も良好です。
アイスクライマーにはまった人なんかは結構のめり込みそうな感じです。ところで、これの題材となったCLANNADはいつになったら出るんだろうか。2003年中とは言うもののはてはて。

[2]バトルへーちょ(リトルスペースソフトウェア)

題材はあずまんが大王(あずまきよひこ作)です。内容はマリオカートとほとんど同じです。８キャラから選んで、ステージ６まで上位３位以内で勝ち進む通常モード、COMや人間と対戦するシングルモード、タイムアタックモードがあります。操作感覚もマリオカートとほとんど同じで、アクセル、ジャンプ、攻撃・アイテム使用の３つで操作します。加速は方向キーの上、減速は下です。加速すると体力ゲージが減りますが、コース上に置いてあるコインで回復できます。また、コース上にはアイテムボックスが置いてあり、とるまで何が出るかわかりません。

これがマリオカートベースだからかやたらと「エキサイティング」で、妙に面白くも熱いです。単純だから面白いということもありますが、結構スピード感があってしかもキャラがよく喋ります。ただ操作性に関しては少し慣れが必要な部分があって、カーブを曲がるときに方向キーをやや長めに押さないと曲がりきれません。他にはF-ZERO的な要素として、追突されると速度が上がりますが、代わりに体力ゲージが下がるのもF-ZEROと同じです。アイテムで超加速を使って加速してきた敵キャラに追突されると、一気に速度が上がったりします(そして速すぎてカーブを曲がりきれずに激突することも。。。)

あとはこのゲーム独自のルールとして、コースアウトすると一気に４位付近の位置まで自動的に送ってくれます。回送中に途中でボタンを押すとそこでコースに戻ります。このルールは賛否両論ありそうですが、COMのレベルを上げるとこれでも追いつかなくなることが結構あるため、実際はそこまで問題にならないかもしれません。他にはコースの描画が追いついていないことがあり、コースの先を見ながらだと操作に失敗することがあります。このあたりはコースを覚えていくしかなさそうです。

このゲームは４人同時対戦も可能で、画面４分割で対戦できます。しかしこれは１９インチ以上のCRTとかじゃないと苦しそう。
個人的には、この作品は万人に勧められるかなと思ってます。実際３〜４人の知り合いにやらせたところ、いずれも「面白い」という回答が来ました。なんだか妙に熱いゲームなので、ぜひやってみてほしいところです。

余談ですが、実はこれの元ねたとなるあずまんが大王はほとんど知りませんでした。このゲームに触発されて、試しにアニメのDVDを回収して見てみたのですが、これがなかなか面白い。なんとも馬鹿馬鹿しい乗りで、もっと早く手を出しておけばよかったかなあ、と今更ながら後悔。。

[3]CYBER GRANDPRIX(Project YNP)

題材はサイバーフォーミュラ(らしい)前述のバトルへーちょと違って正統派のレーシングゲームで、グラフィックが非常に秀逸です。市販ソフトと見紛うばかりのグラフィックの出来で、パーツ店でデモをみたとき同人ゲームとは全然気づきませんでした。デモをみたその日に一緒にいた知り合いと秋葉原を探し回ったのですが、売り切れや予約受け付け中などとなっていた委託販売店ばかりで、その人気をうかがい知ることができます。

さてゲーム内容についてですが、正統派と書いただけあって本当に正統派です。グランプリモード、タイムアタックモードなど、レーシングゲームが通常持っているモードはすべて揃えてあり、ターボを使った超加速もあります。操作性に関しては、そこまで悪くない感じです。ちょっと古いたとえをするなら、セガラリー２に近い感じでしょうか？(これじゃやったことない人わかんないか)

このゲームでは６種類の車両を選べますが、この手の正統派にしては性能差のつけ方がちょっと極端になっています。このあたりは「わざとそうした」とのことで、それはゲームの味付けということのようです。F-ZREOなんかはかなり極端だったしなあ。

しかし、どうも何か物足りない感じがします。確かにグラフィックはよくできています。操作性も悪くありません。マシンごとのバランスは作者側の意図なので、このあたりもよいとします。作品自体も面白く、商業ゲーとして出しても恥ずかしくないくらい技術力があります。ただ、何とも言えないこの物足りなさは、やはり「遊び心」がないからでしょうか。前述のバトルへーちょは遊び心丸出しでしたが、こちらはというと、知り合いが評していた言葉をそのまま借りるなら「真面目な技術者がしっかり作った感じ」といったところです。
勿論きっちり作ってあるレーシングゲーが好きだという人も多いわけで、私自身もどちらかというとその一派です。しかし今回に関しては、ちょっと不思議な感覚を遊んでいて感じた次第です。

あと注意点として、ESCでゲーム終了すると、OSに戻ってきた後に画面がおかしくなっていることがあります。これについてはサークル側も認識しているようで、バグの改修が待たれます。

[4]Melty Blood(渡辺製作所・TYPE-MOON)

2002年冬コミの時点で買っていてもう半年前になるのですが、とりあえず紹介。月姫題材の格闘ゲームですが、本家との共同企画であり「公式」になります。

これについてはすでにいろんなところでレビューや攻略記事があるため、ここで多くを書く意義を感じませんが、出来としては渡辺製作所としての前作格ゲーになるParty's Breakerより、明らかにキャラクタ間のバランスがよくなっています。キャラの等身も上がっていて、32bitフルカラーモードでもWindowモードで遊べます。

最初はあーぱー吸血鬼アルクェイドで遊んでましたが、気がつくと琥珀がメインキャラになっている始末。あとは知得留といったところです。他に気づいた点としては、キャライメージと音声がどのキャラもうまく一致していることで、この声優人選は非常に優秀であるといえます(大手プロ使ってるしなぁ)といってもこれは私の主観での話。
オリジナルサントラも出ているので、まだ未プレイの人はセットで買ってみるのも手かも。

ちなみに、これまで出てきた作品は、以下の環境で問題なく動作しています。

マザーボード	Rioworks PDPEA-WOR(Intel E7505)
プロセッサ	Xeon 2.4GHzDual(FSB133MHz×18、Hyper-Threading ON)
メモリ	PC2100-CL=2.5 DDR-SDRAM 256MB×4=2GB
グラフィックボード	Matrox Parhelia(ドライババージョン：1.04.00.078)
OS	WindowsXP Professional+ServicePack 1
DirectXバージョン	9.0a
Sound	Hercules GameTheaterXP 5.1ch
ゲームパッド	IODATA IF-SEGA2L/PCI+SEGA Saturn標準付属パッド

恐怖の大王？AMD64

やるだろうとは思っていましたが、やはりやるようです。ここによると、Xeon(Prestonia)の次世代新コアになるNoconaにて、FSB800MHzを導入するようです。Noconaの後継になるJayhawkもFSB800MHzになるようです。もともとIntelは、

プラットフォーム	FSB(Data rate)
中堅以上の一般向け、SingleプロセッサWS	800MHz
DualプロセッサWSおよびサーバ	667MHz
4Way以上のサーバ、Celeron	400MHz
ノート	400MHz、533MHz

という戦略を立てていたのですが、ここにきて、

プラットフォーム	FSB(Data rate)
中堅以上の一般向け、SingleプロセッサWS	800MHz
DualプロセッサWSおよびサーバ	800MHz
4Way以上のサーバ、Celeron	400MHz
ノート	400MHz、533MHz

と改めるようです。

これについては事実だとすると原因の予想は容易で、Opteron対策にほかなりません。今でこそOpteronはXeonに圧倒的なクロック差やOS環境などで負けていますが、MicrosoftがAMD64版WindowsXPを出すというので、IntelもFSB667MHzなんて悠長なことをやめて、本気でOpteron潰しにかかるようです。

サポートチップセットはいずれもPCI-Express世代になるサーバ用のLindenhurst、WS用のTumwaterになるようです。そもそもXeonだけFSB667MHzっていうのも中途半端な話で、Opteronが出たことでIntelも焦ってXeonへのFSB800MHz突っ込みはやるだろうと思っていましたが、まさに予想通りです。しかし、4Way以上のサーバにおける、FSB533MHz以上の導入は当分先になりそう（4Way以上対応の、GrandChampion-HEやXA-32がまだFSB533MHz対応してない。）

しかし実際には、Pentium4でのFSB800MHz動作が好調なので、FSB667MHzでとりあえず考えてたXeonも800MHzにしてしまおうじゃないか、という話も。

2003年6月8日

３次元空間での人物の表現方法

一部筋で話題になっている「ゆめりあベンチ」ですが、うちも早速試してみました。ちなみに「ゆめりあ」とは、ナムコが発売しているギャルゲーで、キャラクタを3Dにしたというなんだか快挙というか暴挙というか、SOUL CALIBURや鉄拳シリーズなどで培った高い3D表現技術を、間違った方向に（？）転用したんじゃないかという疑惑がふつふつと。。3Dギャルゲー（というのかなあ）といえばごく最近だと、Microsoftの「N.U.D.E」なんてありましたが、これとはコンセプトを大いに異にするというか、そもそもジャンルが全然違うんであれなんですが、とりあえず本題に戻ってベンチ結果をば。

測定環境は1024×768の「綺麗」ですが、ボードの世代によって選べる画質モードが変わります。画質モードには「それなり」（なんちゅー表現）、次が「綺麗」、最高画質で「最高」と３段階あるんですが、DirectX8.1対応で「綺麗」、DirectX9対応で「最高」にまで選べます。実行ファイルのバイナリを1byte書き換えて、強制的に最高を選ぶというのもあるんですが、描画がおかしくなるようなのでここでは割愛。というわけで結果を以下に。

にしてもこのゆめりあ、ナムコはWindows版を出すつもりはないと言っていますが、実は裏でこっそりと開発を進めてたりして。Windows版出たらねたで買ってみるかなぁ。

測定環境	測定結果
その１	5516
その２	11555
その３	6155
その４	5531
その５	3002

その１
マザーボード	Rioworks PDPEA-WOR(Intel E7505)
プロセッサ	Xeon2.4GHzDual(FSB133MHz×18、Hyper-Threading ON)
メモリ	PC2100 CL=2.5 DDR-SDRAM 512MB×4=2GB
グラフィックボード	Matrox Parhelia
ドライババージョン	1.04.00.078
OS	WindowsXP Professional+ServicePack1
DirectXバージョン	9.0a

マザーボード	MSI MS-9126(Intel E7205)
プロセッサ	Pentium4-2.2GHz(FSB100MHz×22)
メモリ	PC2100 CL=2.5(CL=2動作) DDR-SDRAM 256MB×4=1GB
グラフィックボード	その２：Innovision Tornado GeForceFX 5800Ultra
	その３：Abit Siluro GF4Ti4200 OTES(GeForce4Ti4200-64MB)
	その４：ATi Radeon8500-64MB
ドライババージョン	その２、その３：44.03
	その４：CATALYST RADEON3.4(7.88)
OS	Windows2000 Professional+ServicePack3
DirectXバージョン	9.0

その５
マザーボード	ASUS A7N8X Deluxe(nVIDIA nForce2-SPP+MCP-T)
プロセッサ	AthlonXP1700+(FSB133MHz×11)
メモリ	PC3200 CL=3 DDR-SDRAM 128MB×2=256MB(128bit接続)
グラフィックボード	ELSA GLADIAC ULTRA64(GeForce2Ultra)
ドライババージョン	41.09
OS	Windows2000 Professional+ServicePack3
DirectXバージョン	9.0

基準値がわからないので、いいのか悪いのか分かりません。プロセッサより、かなりのグラフィックボード依存であるようです。とりあえず、DirectX8.1世代でミッドレンジ以上のボードならなめらかに動きそうです。ところで、しれっとGeForceFX5800Ultraが入っていますが、このレビューは次回以降に。

http://supertank.iodata.jp/products/uide13398a/

独り言：それにしても、末期からのPC-98ユーザの無理難題な要望し放題はなんとかならんのだろうか。できるかどうかという技術的可能性や議論を抜きにして、夢だけ語ってもしょうがないんだがなあ。「無い物ねだり」があまりに多すぎる気がする。玄人志向もそういう意味じゃ苦労が絶えなかったんじゃないかな、ちょっと同情。

2003年3月31日

オーストラリアの浜辺で

世間ではDDR-SDRAMの2ch接続でDDR333に対応したSiS655が、本家IntelのE7205と互角の勝負をしながら値段が安いとあって人気を集めています。そんなわけで、私もなぜかE7205マザーを手に入れてしまいました。

入手したマザーはMSIのMS-9126ですが、E7205Master-Fといったほうが通りがいいです。このマザーはNECのExpress5800-WSやMATE NXにもOEM供給されており、MSIはNECの他IBMにもマザーボードをOEM供給しています。

性能面については雑誌などにいろいろと載っているためここでは省きますが、面白いのはこのMS-9126にはAward Workstation BIOSなる怪しげなBIOSが乗っています。例によってほとんど「遊べ」ません。なおNEC向け版には本家Phoenix BIOSが乗っており、ますます遊べなくなります。
もともとMS-9126はこういったOEM向けであり、遊ぶことを考慮していないので、その辺は仕方ありません。一般向けにはごてごて乗ってオーバークロック設定豊富なGNB Max(MS-6565)があるので、そっちで遊べってことなんでしょう。

ちなみにPentium4 2.2GHz+メモリ1GB(DDR200-CL=2動作のPC2100 CL=2.5 DDR-SDRAM256MB×4)の状態で使っていますが、D850EMV2Lと比較して全く遜色ない速度を叩き出します。むしろ手持ちのメモリがRDRAMが512MBに対してDDR-SDRAMが1GB分あったため、メモリが512MB増えて都合がよくなっています。よって、試験・評価用マシンのマザーボードは今後これを使うこととなります。

最近ごてごてとついてオーバークロック設定豊富なマザーボードよりも、MS-9126やIntelマザーのようなプレーンで遊べない安定指向のマザーのほうが気に入る傾向になり、嗜好が変わったのかな、と思い出した次第です。OR840を長く使っていて、その間に変わってしまったのかも。あと、Pentium4やAthlonXPになって十分速くなってしまい、オーバークロックへの興味が薄れてしまったというのもあります。

なんか今回は本当に独り言になって、全然面白くありませんがこんなもんで。

2003年3月4日

山猫とDirectXをめぐる冒険

DirectX9が発表され、またDirectX9対応の3Dベンチマークである3DMARK03も発表され、グラフィックボードの世界はDirectX8.1から9へシフトしようとしています。
DirectX9からはアーキテクチャががらっと変わるということで、最近あまり話題にならなかったグラフィックチップベンダが、ここぞとばかりに復活をかけて意欲作を出そうとしています。G400以降、IA-WSのローエンドモデルでくらいしか名前を見ることがなかったMatroxが去年6月末に出したParheliaを皮切りに(後継チップも開発中らしい)、TridentのXP8、S3のDeltaChrome、SiSのXabreシリーズDirectX9対応版など、nVIDIAとATiしかいないつまらない業界になろうとしていたグラフィック世界に、新たな変化が生まれつつあります。

そんな中、3DLabsが出したWildcatVPシリーズもまた、DirectX9を意識した構造になっています。というわけで（強引な転換）、今回はこのWildcatVPの最下位モデルである560についてレビューを行いたいと思います。

3DLabsはご存じの通りOpenGLアクセラレータWildcat(IntergraphのOpenGL部門を買収した部分の流れを組む)やOxygen、Permediaを開発しているメーカで、最近Creative Mediaに買収されました。今後が注目されますが、Creativeの買収した本当の意図はまだわかりません(別にこれを足掛かりに3DLabsチップ採用のボードを作ろうという動きもない)

今回はWildcatVPシリーズの最下位モデルであるWildcatVP560についてレビューを行いたいと思います。
WildcatVP970/870/760に搭載されているチップ(というよりはテクノロジ)はP10で、このP10にはVertex Shaderといった固定機能の演算器はなく、汎用の演算器(32bit語長SIMDプロセッサ)が並んでいる形になっています。具体的には、ジオメトリプロセッサ、テクスチャプロセッサ、ピクセルプロセッサになります。そしてこれはドライバで定義することによってVertex Shaderとして使うことも可能になります。すなわち、ドライバの出来如何で性能がかなり変わる可能性がある構造になっています。メモリバスは256bit、AGP8Xに対応するとされています。
そして今回の評価対象であるWildcatVP560にはP9が乗っていて、これはP10のパイプラインやメモリバス等を半分に削った廉価版になります。出力はDVI-I×2、メモリはDDR-SDRAM64MBです。

WildcatVP560の素性についてはこれくらいにして、次は性能面の評価を行います。評価システムは以下の通りです。なお、今回から各種評価は、以下のシステム構成で行います（メインのPDPEA-WORマシンをあれこれいじるのは面倒であり、別段評価システムがパワー不足ということもないため）

マザーボード	Intel D850EMV2L(Intel 850E)
プロセッサ	Pentium4-2.2GHz(FSB100MHz×22)
メモリ	PC800-45 Direct RDRAM 256MB×2=512MB 2ch接続(Samsung)
LAN	onboard intel 82562ET
SCSI I/F	玄人志向 Chanpon3PCI(SCSI Narrowコネクタ用)
HDD	Seagate ST360015A(Barracuda ATA V)
DVD-ROM	東芝 SD-M1612+SD-M1401(Chanpon3に接続)
Sound	Analog Devices AD1885 SoundMax3.0 AC'97 Codec
OS	Windows2000 Professional+ServicePack3+DirectX9.0

今回は比較対象としてRadeon8500/64MBを選び、これを基準とします。それぞれのドライババージョンは以下の通りです。

WildcatVP560	3.01.0181
Radeon8500	Catalyst 3.1(6.14.1.6292)

ところで、WildcatVP560は本来はOpenGLソフトウェア用途であり、DirectXの性能についてはおまけ程度であることを付け加えておきます。

[1]3DMARK2000

DirectX7世代ということでベンチマークとしては古くなりますが、まだこの世代のゲームもあるために結果をとっておきます。

	3DMARKS
WildcatVP560	3792
Radeon8500	11042

3倍くらい大差がついてしまいました。かなり遅いですが、これはDirectX7世代の性能としては大体Voodoo5やRageFuryMAXX辺りなのではないかといえます。しかしRadeon8500は1万超えとはなんかすごいですなあ。

[2]3DMARK2001SE

次の3DMARK03が出るまでが長かったため、3Dベンチマークとしてはかなりのデータが蓄積されています。

	3DMARKS
WildcatVP560	3832
Radeon8500	9241

どういうわけか、WildcatVP560では3DMARK2000より値がよくなっています。このように逆転するグラフィックボードもかなり珍しいのですが、これについてはなかなか興味深い結果です。

[3]3DMARK03

ついこないだ発表されたDirectX9対応の3Dベンチマークで、今回から追加しました。以後3D系の評価は3DMARK2000/2001SEに加えて03も行います。nVIDIAが「適正さを欠いている」と批判していますが、自分ところのチップが思うような結果を残せないことに対する腹いせなんじゃないかと邪推してみたりも。

	3DMARKS
WildcatVP560	461
Radeon8500	1132

どちらも悲惨な値が出ていますが、現時点でこのベンチマークでまともな値を出せるのはRadeon9500/9700Pro、今月発売予定のGeForceFX5800Ultra(NV30)といったDirectX9完全対応のボードくらいなので、まだ参考程度です。
余談ですが、DirectX9に片足突っ込んだ形で対応しているParheliaについては、Xeon2.4GHzDual/FSB533+WinXP+DirectX9の環境では900程度しか出ません。Vertex Shaderのバージョンが本来2.0のはずが1.1と返したりと、ドライバがDirectX9に完全に対応していないようです。これについてはMatroxは「現在鋭意対応中」(4月頃出るとか)としており、ドライバ更新が待たれます。

[4]Final Fantasy XI Benchmark 1.1

4000を超えると快適に遊べると「される」FFXIの動作基準の目安を示すベンチマークですが、実際のところFFXIってどこまで盛り上がっているのかしら。プラットフォーム面でボロクソにいわれながらも、RagnarokOnlineのほうが明らかに盛り上がってるような。

	Result
WildcatVP560	3410
Radeon8500	4910

結構健闘しています。3400程度なら、WildcatVP560でFFXIはそれなりに遊べそうです。ただきちんとテクスチャ表現されるかどうかは別問題で。。。

[5]GL Excess 1.1a

がらっと変わってOpenGLのベンチマークです。1024×768-32bitにて計測しました。

	Result
WildcatVP560	3723
Radeon8500	5642

それなりの値は出ていてこの辺りはOpenGLへの本業ぶりが伺えますが、それでもフレームレートにはかなり差をつけられています。ただフレームレートの安定度(落ち込み具合)については、WildcatVP560のほうがRadeon8500より厳しくないように思えます。

[6]OpenGL Benchmark 1.6.2

これまたOpenGLのベンチマークです。オブジェクトがワイヤフレームなど様々な状態で回転し、その回転時のフレームレートや速さを見ます。

	3D total	2D implemented
WildcatVP560	2018.293072	307.895592
Radeon8500	Motion Blurの試験でハング	−

Radeon8500ではベンチマークの途中でハングしてしまいました。というわけで比較にならなくなってしまうんですが、WildcatVP560でこのベンチマークを走らせたときの速度が圧巻で、すべての試験が2分足らずで終わってしまいます。Direct3Dに性能が振られたボードだと大体5分以上時間がかかるため、OpenGLボードの面目躍如といったところです。

[7]N-BENCH2.0

スタンダードになりきれず、しかもAthlonシステムに有利な結果が出るという代物で、「そんなのもあったっけ」っていうもはや思い出レベルになってしまってますが、とりあえず取るだけはとってみようと。

	Result
WildcatVP560	1188
Radeon8500	1655

高いのか低いのかあんまりよくわかりません（待て）とりあえずRadeon8500のほうがいいとしかいえません。

[8]QuakeIIIArena

かなり長いこと3Dのベンチマークとして使われてます。demo demo001として測定しました。条件は以下の通りです。

Color depth:32bit
Lighting:Lightmap
Geometric detail:High
Texture detail:max-1(最大の1つ前)
Texture quality:32bit

Texture detailについては、最大にしたつもりがあとで最大の１つ前と気づき、しかも測定してボード取り外したあとに気づいたので、面倒だったからそのまま条件としました(待てコラ)数値の単位はfpsです。

解像度	800×600	1024×768	1152×864	1280×1024
WildcatVP560	142.1	92.5	75.7	56.9
Radeon8500	222.4	199.1	177.9	146.0

QuakeIIIArenaはOpenGLベースなんですが、どの解像度でも80-100fps程度の差がついています。遊べるフレームレートではありますが、Radeon8500のフレームレートを見てしまうとさすがに見劣りしますなあ。

[9]実際のゲームでの振る舞い、DVD再生

実際のゲームでの振る舞いについて、以下のゲームにて簡単に試験してみました。

作品タイトル	動作状況
UnrealTournament2003	所見なし、でもフレームレートが少し厳しめかも。
Party's Breaker	キャラが全く見えず、ゲームになりません。
Melty Blood	キャラが全く見えません。よってゲームにならず。
Eternal Fighter Zero	そもそも起動しません。なんじゃこりゃ。
マブラヴ	所見なし、描画の遅さもありません（当り前？）
式神の城	所見なし、ボス戦でフレーム落ちが若干見られる？
VM Japan	所見なし、これくらいは楽勝で動いてもらわんと。

なんかかなりボロボロですなあ（笑）ゲームに関しては、DirectXの互換性が低いのではないかと思われます。というか同人ゲーがボロボロなだけで、市販ゲーは結構まともに動作しているので、あまり気にすることもない？（いや、実は大問題なんだが）

DVD再生に関しては再生自体はできるものの、発色が最悪です。肌色がかなり褐色がかっていて、ゾンビというか死体さながらになってしまいます。他の色も妙に不自然で、そもそもこんな使われ方は想定されていないであろうとはいえ、この発色のひどさにはまいってしまいました。これでは話にならんので、WildcatVP560でのDVD再生は発色面からあきらめた方がよさそうです。

ちなみにこのWildcatVP560、まったくDirectXゲームのことを考えていないというわけではなくて、一応一部ゲームに対応したDirectXの設定というのが存在します。しかしその 対応タイトル数もわずか６〜７で、やっぱりあまり期待できないのかも。

[10]画質、発色、2D速度

画質については、現在SonyのSDM-S71を使っているため言及を避けますが、発色に関しては以前のOxygenシリーズやPermedia2のような白っぽい発色はなくなりました。白が落ち着いた感じですが、逆によくも悪くも特徴がなくなって、「面白みがない」発色になっています。このあたりはもはや好みですかね。
2Dの描画速度は問題ありません。1280×1024-32bitの環境でPDFをスクロールしても引っかからず、不満を感じることはないと思います。

[11]総評

駆け足で見てきましたが、結論としては「やはりOpenGLボードだった」ということです。DirectX9を見据えた設計とはいえ、互換性や性能の低さはおよそ「現代的」とはいえません。特にゲームがぼろぼろです。Direct3D速度については、大体GeForce2MX200と400の間程度かなあ、という気がします。もともとOpenGLアプリケーションでの使用を前提としているのでDirectXはおまけみたいなもんだとは書きましたが、もうちょっと真面目に実装してほしかったかなと思います。チップ自体のpotentialは高いようなので、今後のドライバ改善に期待です。

ただ、このボードはさほど高くなく(実売価格3万円台前半)、DVI-I×２によるディジタル接続のマルチモニタも可能です。なので、LCDでディジタル接続のマルチモニタをしたいがParheliaは高くて買えない、DirectXのゲームは基本的にやらずDVD再生もしないという人には結構うってつけかも？そういう人(あんまりいないと思うけど)と3D-OpenGLをいじる人以外には、ひねくれ者でもない限り別段選択する理由がないですねえ。

2003年2月14日

笑っちゃいけないエンジニアの真顔ミス（？）

今回は分かる人だけ笑ってください（本当に笑えるのか？）

私の本業は新人の工場労働者なんですが、うちの会社では様々な研修が人材育成目的で開講されています。その内容はマネージメントや情報システム構築関連、ハードウェアやソフト/ファームウェアなど多岐にわたり、業務に生かせるような研修があれば、時間と予定さえ許せば出張扱いなどで受講することが可能です。そんなわけで、私も業務に密接に関連する研修を昨日今日と受けてきたのですが、その講義で講師が話していた過去の笑い話をひとつ。

たとえば、「値がFFhだったらその値に1を加算し、そうでなければ1を減算する」という処理を8086アセンブラで書いた場合、以下のようになります。

	CMP	AX,0FFh		;AX=0FFhか？

	JNE	LABEL1		

	ADD	AX,01h			;AX=0FFhならAX=AX+1

	JMP	LABEL2

LABEL1:	

	SUB	AX,01h			;AX≠0FFhならAX=AX-1

LABEL2:

	if(ax!=0xff)		/*  AX=0FFh？か？　*/

	goto LABEL1;

	else

	{

	  ax=ax+1;		/*  AX=0FFhならAX=AX+1 */

	  goto label2;

	}

LABEL1:

	ax=ax-1;		/*  AX≠0FFhならAX=AX-1 */

LABEL2:

これを見たときには大笑いしてしまいました（笑）

このコードは処理内容こそ間違っちゃいませんが、あまりにも発想というか作り方が「アセンブラ」です。アセンブラに長く浸かっていたために、高級言語のCの考え方は慣れてないせいもあってこんなコードを素で書いてしまったようです。
って自分も業務でへぼいコード書くので過去とはいえ人のことは笑えないんですが、今回ばかりは自分のことを棚にあげて講義中に笑い転げてしまいました（待て）

とまあ、分かる人が見たら思わず「ニヤソ」としそうなねた。
本題とは関係ないんですが、今回の研修の講師は入社30年超の大ベテランエンジニアで、今は現場を離れて人材教育にあたる立場なようです。ベテランが話す過去の技術話はやたらと面白くて、話している姿も嬉しそうなのですが、なかなかそういう機会がないのがあれなところ。大分前の研修だと、通信出身のベテランが「前は社内回線が2400ボーだったのが、今は10Mボーになって高速になりまして・・・」って話してて、果たしてどれくらいの新人が分かってたのやら。わしは分かってしまった（笑）

なんかとりとめがないけどこんなもんで。

おまけ：上のアセンブラコードをMASM(Macro Assembler)で書くと、きわめてCライクに書くことができます。ちなみに実際に吐かれるコードは上と同じです。

	.IF( AX==0FFh )

		ADD	AX,01h

	.ELSEIF

		SUB	AX,01h

	.ENDIF

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