PC関係独り言・2002年9月20日〜2003年1月4日

表に戻る

上（PC関係独り言トップ）に戻る

2003年1月4日

さらばP6、こんにちはNetBurstその１

年が変わって2003年になりました。あけましておめでとうございます。今年も当領域をご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

という型どおりの挨拶はこれくらいにして、今回はA7N8Xのレビューその２を書くつもりでしたが、ねたを変えることとします。実は原稿は進んでいたんですが、ちとそれはここでは置いておくということで。

タイトルにもありますが、ついに我が家にもNetBurstなシステムが入りました。といってもPentium4ではなくXeonで、マザーはE7505になります。
私は以前から「Xeonシステムに移行」と言ってきましたが、予算の関係でなかなか移行できませんでした。８６０マザーがいずれも重厚長大路線を突っ走っていて、拡張ATXとSSI-EPS12V対応(860DProみたいなWTX-PS2対応なんてのもある)電源当たり前で、しかも高額という世界はおいそれとは手が出ない領域です。

しかし、冬ボーナスが出たのを機に、「ここで移行しなかったらいつ移行する？」と息巻いて一気に移行を行うことにしました。ここで、「OR840の後継は当然Dualマシン」ということになるのですが、一時はAthlonMPDualも考えていました。しかし、

・本命だったA7M266-Dの評判が相当にぼろぼろだった
・762-768マザーで評判がいいものは何一つなかった（電源との相性が厳しすぎる、AGP4Xで変な動作をする、64bitPCIにSCSIボード挿してそれに繋がっているディスクへのOSインストールがうまくいかない、など）
・そもそもECC-Registered DDR-SDRAMが高い
・結局、もっともまともそうなのはThunderK7しかなく、ハイエンドマザーとはいえ今から762-766マザーってのもなあ（K6-2にファンつけなきゃならないし）

という理由で、AthlonMPDualシステムは結局見送りました。勿論「安定化するまで苦労する楽しみ」というのはあるんですが、今回は毎日使用するメインマシンが対象であり、がちゃがちゃやってもかまわないサブマシンとはわけが違うため、特に相性問題などもなく素直にいける構成がよいと考えたわけです。

となるとXeonDualシステムしか残っていないんですが(MacのG4Dualはおいておいて)、それを組み立てるにあたっては、以下の点を重視しました。

[1]XeonのFSBクロックは133MHz、内部クロックはコストパフォーマンスを考慮して2.0-2.4GHz程度とする
[2]E7505マザーはnon ECC/non RegisteredのDDR-SDRAMが使えるものを選ぶ
[3]できればマザーはATXサイズがいいなあ(拡張ATXサイズのマザーが入るケースは持ってはいるが)

そんな条件を揃えるようなマザーなんかあるのか？という話になるんですが、都合よくRioworksがATXサイズでnon ECC/non RegisteredのDDR-SDRAMが使えるE7505マザーを出してきました。試作品はWorldPC Expo2002にも出展されていて、Rioworks日本法人の営業にあれこれ話を聞き、値段も手ごろとあって実はこの地点ですでにこのマザーをかなり買う気になっていました（笑）

というわけでこのマザーを公約どおり（？）購入し（かなり品薄状態らしい）、システム構成は以下のようになりました。

マザーボード	Rioworks PDPEA-WOR(Intel E7505)
プロセッサ	Xeon2.4GHzDual(FSB133MHz×18), HyperThreading-ON
メモリ	DDR266-CL=2.5 256MB×4=1GB 2ch接続(Transend製Samsungチップ×2+Corsair製Micronチップ×2)
グラフィックボード	Matrox Parhelia(メモリクロック/コアクロック＝275/220MHz)
LAN	onBoard Broadcom BCM5702(Gigabit Ethernet)
SCSI I/F	Adaptec ASC-29160(PCI-Xに接続)
HDD	富士通 MAN3184MP/MAJ3091MP/MAH3091MP+日立 DK32CJ-MC
DVD-ROM	NEC DV-5800A
Sound	Hercules GameTheaterXP 5.1ch
Game I/F	IF-SEGA2L/PCI
ケース	Enermax CS-588Pro
電源	Zippy HP2-6460P(460W)
OS	WindowsXP Professional+ServicePack1+DirectX9.0
キーボード	PC-9801FX/U2付属キーボード(今年で１１年目、Object 98toUSBでUSB接続)

殆ど、というかマザーボードとメモリ、電源、CPU以外はすべてOR840システムからの流用です。ケースもJustyの安物ケースからEnermaxのCS-588Proに変更しました。電源はRioworksにてPDPEAで動作確認がなされており、推奨とされているZippyのHP2-6460Pを選びました。推奨電源だけあって、ごてごてつけてもまったく問題なく起動します。

E7505については詳細はIntelサイト(http://developer.intel.com/design/chipsets/e7505/)に任せますが、簡単に８６０と対比した説明をすると、以下の表のようになります。８６０と比較して、かなり強化がなされています。

	E7505	８６０
メモリインタフェース	PC2100/1600 DDR-SDRAM 2ch(ECC/Registered対応)	PC600/800 Direct RDRAM 2ch(ECC対応)
フロントサイドバスクロック	133/100MHz(データ533/400MHz)	100MHz(データ400MHz)
HyperThreadingへの対応	対応	非対応(BIOSでONにできるマザーは多い)
最大メモリ数	16GB	2GB、MRH-R使用で4GB
AGPインタフェース	Specification 3.0、8X対応	Specification 2.0、4Xまで
64bitPCIへの対応	P64H2にてPCI-X/133MHz対応	P64Hにて64bit/66MHzPCI対応

その１・使用感

PDPEA-WOR(以下PDPEA)には専用のAAVIDのヒートシンク(型番不明)が2個付属しています。このヒートシンクにはファンカバーがついていて、指が間違って入らないようにするなどの工夫がしてあります。ソケットへの取り付けも実に簡単で、マニュアルなどなしでとりつけられます。対応クロックはWorldPC Expo2002のときにRioworksの担当者に聞いたところ、2.8GHzまでは確認しているそうです。3GHz以降については未確認とのことです。ものが出てないから検証しようがないんですが、出たらRioworksから発表があるでしょう。

ただのこの付属ヒートシンクについているグリスが曲者で、接着機能も果たしてしまうのかプロセッサとしっかりくっついてしまいます。マザーに付属していた1枚紙にも注がありますが、このヒートシンクについているグリスはカッター刃で削り、他のグリスを塗布したほうがいいでしょう。あとでプロセッサを取り外すときに苦労します(実際苦労した)

更に言うとこのファンがえらいうるさく、２個つけて電源を入れると「ゴーーーー」というすごい音がします。常用可能な騒音ですが、今までのPentiumIIIDual時代と比べて騒音が2倍くらいになっています。しかもうちのマシン状態が以下のような状態であるため、椅子に座ると騒音がもろにきます（笑）

  

          ガラクタ、CD

        +===============+　←天板

        |   +-------+   |

        |   |SDM-S71|   |

        |   +-------+   | 

        |       |       |

    +-+ |    ---+---    |　　　←　　全体：マシンラック

    | | |  +---------+  |

    |P| |  |Ra300/D40|  |

    | | |  +---------+  |

    +-+ +===============+　←ラックの机

+-+ +-+ |               |

| | | | |               |

|A| |R| |     椅子      |

| | | | |               |

+-+ +-+ |               |

―――――――――――――――――――　←床

※A=A7N8X、R=RsII26/B40、P=PDPEA

以前はPの位置にOR840マシンがいて、OR840の前はP3C-Dマシンが乗っていて、今ではメインマシンの指定席になっています(下敷きになっているRsII26が可哀想(待て))しかしえらいことになっているなあ。余談ですが、Intelのリテール版ファンは付属のプラスチックのダクトが共振するらしく、常用をためらうくらいうるさいとか。

ところでWinXPProを導入すると、以下のような構成になります。

割り込み状況です。IRQ28とかIRQ52とか、なんか豪快な状態になってます(笑)IRQを極力shareせず、IRQ16以外すべて散らばらせているのが印象的です。

システムデバイス状況です。PCI-XブリッジのP64H2が見えます。「ターミナルサ ーバーデバイスリダイレクタ」なる怪しいデバイスが棲みついているようです。 なにやらサーバとしての機能で使われそうですが、実はE7500シリーズでは全部 に載っているのかも？でもE7501/E7500の方がIAサーバ向けだし、IA-WS向けのE7 505に乗ってるのはちと不思議かも。ちなみに同じIA-WS向けで、Pentium4用のE7 205にも乗ってるようです。。。

接続状況です。P64H2配下にASC-29160とBCM5702(Gigabit Ethernet)がいます。I ntel PCI to USB Enhanced Host ControllerはICH4(82801DB)内蔵のUSB2.0コン トローラです。

マザー自体はATXサイズですが、つまっているデバイスや機構はかなりごちゃごちゃしています。この辺りはnForce2にも通じるところがありますが、構成の複雑さはnForce2の方が上かもしれません。

ところでXeonは、0.13umプロセスで製造されたPrestoniaからHyperThreading(以下HT)機能がONになっています。すでに雑誌などでかかれているように、HT機能のON/OFFのスイッチ自体は、0.18umプロセス製造のPentimu4であるWillametteから実装されています。しかし、同じ0.18umのXeonMP(FosterMP)を除き、0.13umになったNorthwoodコアのPentium4-3.06GHzでONになるまではHard wiredでOFFになっていました。

このHTをONにしてWindowsXPをインストールすると、タスクマネージャのCPU負荷メータが以下のようになります。

タスクマネージャ

WCPUID

CPU負荷メータが４個出てくるとなかなか壮観です。滅多なことでは負荷率が100 ％になりません。例えば、DVD再生をしながら動画をマルチスレッドでMPEG-1エ ンコードを行っても、全体としてのCPU負荷率はピーク時でも80％程度です。

動作面では、論理とはいえQuadプロセッサが効いているためか、あれこれ同時でソフトを動かしても動作の「引っかかり」が起こりません。PentiumIII1.0BDualのときよりも安定している感じです。Glove On Fight(渡辺製作所)をWindowモードで走らせながら、Superπ1677万桁を並行走行などということをしても動作の引っかかりは起こりません。逆にどうやって負荷率100％にしようかと考えるくらいで、よほどのことがない限り100％にはならないでしょう。

ところでこのHT、対応OSはWinXPとWin.NET Server2003、Redhat Linux7.3以降、Turbo Linux8以降などとなっています。Linuxについてはあまり造詣が深くないため言及を避けますが、Windowsでいうとマルチプロセッサ対応であるWin2000やWinNT4.0は対応していません。ではHT-ONの状態でこれらのOSをインストールするとどうなるかということになりますが、Win2000の場合そのままDualプロセッサやQuadプロセッサとして認識されます。
確かに認識はされ、OSも問題なく動作するようなのですが、この状態でマルチスレッド処理に対応したソフトを走らせると性能低下が起きるようです。試しに知り合いのXeon2.2GHzDual(FSB400MHz)+P4DC6(Supermicro)+Win2000Server+RDRAM1.5GB/PC800という環境でTMPGEncを使い、HT-ONでMPEG1エンコードをやってもらったところ、OFFの状態と比べて性能低下が見られています(OFFだと9分40秒程度でエンコードできたのが、ONにすると10分半程度かかる)同じことをPDPEA+WinXPの環境で行ってみるとエンコード時間に差が出ません。

ちなみに８６０もIntelとしてはHT非対応となっていますが、実際にはBIOSでHTのON/OFFを選択できるようになっているマザーが多いです(というか全部かもしれない)XeonプラットフォームではHT対応はE7500/E7501/E7505とGrandChampionシリーズ(Serverworks)になるんですが、８６０だけ現在でもIA-WS用に位置づけられていながら、HT対応については取り残されています。前述の性能低下は、８６０のHT非対応も絡んでいるのかもしれません。メインストリーム向けの８４５Ｅですら対応してるのに。

今回はこれで以上です。ベンチ結果なども入れるとかなり長くなりそうなので、今回の導入や使用感などの雑記を「その１」として、ベンチマーク結果を入れた性能面の評価を「その２」として次回執筆したいと思います。

・・・と書いていて、ふとA7N8Xのレビューその２も残っていることに気づきました（待て）まあ書くねたがあるのはいいことなんで、とりあえず今回はPDPEAを優先します。

本音：実はマルチスレッド対応のベンチマークを使って前環境のOR840と比較しようと思ってるんだけど、OR840の環境をまたベンチ用とはいえ作り直すのが面倒くさくて、それでベンチ結果が遅れていてなあ（待てコラ）こっちを何とかしないと始まらないかも。

2002年11月25日

大本命nForce2マザー「A7N8X」レビューその２の前の小ねた

A7N8Xレビュー第2弾の前にちょっとしたねたを。といっても個人的には「重大な」ねたなんでここで取り上げます。

SegaSaturn(以下SS)付属コントローラは「操作性が高い」と一部の間では人気が高く、それをPCに接続するIOデータのIF-SEGAシリーズは一部に熱烈なファンが存在します。しかしIF-SEGAシリーズが去年で生産終了になり、特にIF-SEGA2L/PCIはプレミア価格がついて高値安定で(同人ドライバでWin2000/XPで使えるようになったことが特に影響してる予感)、使いたいが入手していない人はただ見ているか高値覚悟で入手するしかありませんでした。

ところが、そんなユーザにとっては「救世主」ともいえる製品が発売されました。「PC Magic Box」という製品で、USB接続でなんとSS/PlayStation/DreamCastの３種類のコントローラに対応します。USB接続でSSコントローラが使えるという一部筋には夢のような製品で、「IF-SEGAのないPCゲーム生活は考えられない」という私も当然入手して試してみました。値段は3280円で、結構安いです。

使い方は至って簡単で、SSコントローラをPC Magic Boxに接続し、USBコネクタに接続するだけです。ドライバディスクは付属していますが、これを使わなくても特に問題はないようです。

使用感は通常のIF-SEGA接続のSSコントローラとまったく同じで、いくつかゲームを走らせて見ても不都合らしい不都合は見当たりません。むしろUSB接続によるPCIスロットの節約、IF-SEGAボードを移し変えることなくほかのマシンにSSコントローラが接続可能など、IF-SEGAシリーズに比べてメリットは明らかに大きいといえます。こりゃもう２個くらい買ってくるか、FightingStickSSとSS付属パッドの予備もあとそれぞれ3個くらい調達して。

ちなみにPSコントローラやDreamCastコントローラは試していません。本人のコントローラの好みの問題でやってないだけなのですが(待て)この２つのコントローラを使う場合、なにやらKey割付ソフトが必要なようです。店員に聞いたところ、「ユーザ作成のソフトでそのようなものがある」とのことで、どこでダウンロードできるかについてはどこにも記載されていません。暇なときに検索してみようと思いますが、多分やらないだろうなあ。他にはSS/DreamCastコントローラでもアナログデバイスには対応してないそうですが、所有していない上今後使う予定もないのでどうでもいい仕様です。

使用環境はA7N8X/Win2000SP3/DirectX8.1b/MCP-T、要するに前回のレビュー時の環境です。しかしPC Magic Boxが出たからといって、IF-SEGA2L/PCIが引退するわけではないのであしからず。これは壊れるまで現役をはってもらわねば。

余談：SSコントローラ−USB変換の類は製品レベルではこれが多分初ですが、同人世界に目を移してみると、「IF-SEGA/USB」とも言えるべき同人ハードが今年の夏コミで販売されたようです。しかしあっという間に売り切れたそうで、SSコントローラの人気はある意味SS本体以上だった？

2002年11月24日

大本命nForce2マザー「A7N8X」レビューその１・メモリ周り編

ついに業界でFSB166MHz(データ333MHz)対応チップセット搭載マザーとして本命視され、私自身も次なるSocketAマザーとして注目していたASUS A7N8Xが発売されました。というわけで、私も早速手に入れてきました（実際は11月9日の地点ですでに入手していた）

今回購入したのはA7N8X Deluxeで、通常版よりもさまざまなオンボードデバイスが搭載されています。マザーの詳細スペックはASUSのA7N8X紹介ページ(http://www.asus.com/mb/socketa/a7n8x/overview.htm)にまかせますが、かいつまんであげると、

NorthBridge:nForce2-SPP(System Platform Processors)
SouthBridge:MCP-T(Media and Communications Processors)
AGP:AGPro形状、AGP8Xまで対応/1.5V動作ボードのみ
Memory:nonECC DDR200/266/333/400, MAX3GB, Twinbank Memory Architecture
FSBClock:100/133/166MHz(Data200/266/333MHz)
USB:USB1.1/2.0
IDE:UltraATA33/66/100/133
オンボードデバイス:SerialATA/IEEE1394a/Audio/LAN×2

とオンボードデバイスてんこもりで、なかなか豪華なスペックになっています。このA7N8Xに搭載されているNorthBridgeはnForce2-SPPで、NV17(GeForce4MX)は統合されていません。本当はNV17がAGP8X接続で統合されている、nForce2-IGP(Integrated Graphics Processors)が搭載されたバージョンが欲しかったのですが、まだ出ていないためこれについては仕方ありませんでした。そのうち、nForce2-IGP搭載版の「A7N8X-V」が出るのではないかと思います。

ここでnForce2について簡単に説明すると、nForce2はGeForceシリーズで良くも悪くも業界トップにいるnVIDIAが開発したチップセットで、MicrosoftのX-Boxにも採用されたnForceの後継にあたります。南北BridgeをHyperTransport(800MB/s)で接続し、メモリインタフェースを通常の64bit接続から、メモリ2枚一組単位の128bit接続にして帯域を2倍に広げたTwinbank Memory Architectureが最大の特徴です。メモリ帯域は最大で6.4GB/sと非常に広大で、対応フロントサイドバスクロックも166MHz(データ333MHz)に拡張されています。AGPはAGP3.0準拠で8Xモード(2.1GB/s)を持ち、1.5V動作ボードのみの対応です。

やたらと広いメモリ帯域を持つチップセットが好きな私としては(Cobalt、840、ServerSetIIIHEなど)nForce2に手を出すのはもはや「必然」といえる話で、当然DDR400で2ch動作を狙うことになります。

マザーのレイアウトは可もなく不可もないまとまり方で、この辺りは実に「ASUSらしい」作りになっています。フロントパネル用ピンの配置も今までを踏襲しており、何枚もASUSマザーを扱ってきた私としては実に扱いやすいです。

導入についてですが、まずDIMMスロットがえらい固かったです。「こりゃマザーが割れるんじゃないか？」というくらいの硬さで、2枚挿すのに結構な力を要しました。メモリに関連した話題で、128bit接続を有効にする場合、DIMM1+3/DIMM2+3/DIMM1+2+3に同じメモリ(同じチップが望ましい)を挿さないと有効になりません。DIMM1+2では64bit接続になります。チップセットや周辺機器のドライバ導入は、付属CDにあるSetup.exeで一括して行えます。これは楽ですね。

ところで各種ドライバ導入後、デバイスマネージャを見ると"nForce2 Memory Controller"が５個現れます。

なんで５個？４個とか２個なら分かるんですが、この中途半端な数字は一体。その他PCI-PCIブリッジが２個出てきたり、チップセットとしてはかなり複雑です。nVIDIAは元SGIの3Dグラフィックスとハードウェアの要員がいるため、彼らが作ったとしたら「最狂」(誤字ではない)のP6向けチップセットCobaltのごとく複雑になってしまった？

電源については「大飯食らい」揃いのAthlonマザーでも特に大きな出力を持つ電源が必要なようで、Singleにして400W以上の電源がないと厳しいようです。実際、A3-M275で問題なく動作していたノーブランド300W電源(3.3V:20A, 5V:30A)では駄目なようで、EnermaxのEG465AX-VE(3.3V:38A, 5V:44A)を持ってきて安定に至りました。ってこりゃAthlonMPDualでも大丈夫な電源じゃんか。

ところで相性なのかどうなのかは分かりませんが、最初に電源を入れたColdBoot時に、ASC-29160NがSCSI-HDDをスキャンし損ねたりすることがあります。これについてはBIOSアップデートなどに期待といったところですが、そもそもこんなマザーにUltra160のSCSIボードなんかつける人いないか。時期見てATA133のMaxtorなIDE-HDDに変えようかしら。

相性といえば、今回メモリで使用したのはKINGMAXのDDR400-CL=2.5の128MB×2で、KINGMAXのメモリはASUSのDDR333/400のメモリバリデーション通過リストにはひとつもありません。その意味では今回「賭け」でもあったのですが、無事にDDR333-2chでもDDR400-2chでも動いており一安心です。しかしリストにあるはずのDDR400のメモリで動作しなかったという報告もあり、DDR400については規格化がなされていないということもあり、ある意味賭けかもしれません。

BIOSはAwardBIOSで、セットアップメニューはASUSに多いPhoenixBIOS風です。標準設定だと起動時にASUSとA7N8Xのロゴ画面が現れますが、設定できることができます。このロゴ画面替えられないのかなあ？

物理的な面の評価はこれくらいにして、今度は速度面の評価を行いたいと思います。前回nVIDIAの仇敵ATiが開発したRadeonIGP320の評価を行っているため、これを比較対象として評価します。環境は以下の通りです。なお、A3-M275のベンチ結果は、比較のために前回をそのまま流用します（また取るのが面倒というのもある（待て））

プロセッサ	AthlonXP1700+(1.47GHz)
メモリ	KINGMAX DDR400-CL=2.5 128MB×2 128bit接続
グラフィックボード	ATi Radeon8500/64MB
LAN	onBoard 3com + nVIDIA
SCSI I/F	Adaptec ASC-29160N
HDD	Seagate ST318437LW
CD-ROM	東芝 XM-6302B
Sound	Onboard MCP-T
DirectX	8.1b

ドライババージョンは前回とあわせるために同じにしてあります。

Radeon8500

5.13.1.6118

[1]Sandra2002 1.8.59

Memory Bandwidth Benchmarkでの実効メモリ帯域の比較です。

	A7N8X	A3-M275
RAM Int Buffered aEMMX/aSSE Bandwidth	2040MB/s	1329MB/s
RAM Float Buffered aEMMX/aSSE Bandwidth	1896MB/s	1257MB/s

特にIntのほうは700MB/s以上の差がついています。しかしこの値は理論値である6.4GB/sには程遠いのですが、これについてはむしろホストバス帯域(2.1GB/s)の実効値がこちらに現れている感じです。つまりホストバス帯域がメモリバス帯域の3分の1しかなく、「８４０状態」になってるといえるかも。

[2]HDBENCH3.40b6

メモリ項目のみを抜き出しての比較です。

	A7N8X	A3-M275
MemoryR	31689	15000
MemoryW	46536	26569
MemoryRW	52310	27434

いずれの項目も倍近い値が出ています。Athlonプラットフォームではかなり高い部類で、762+AthlonMPDualに迫る値を出しています。A3-M275といえば、なんとA7A266-E(ALiMAGiK1)+SDRAM/PC133に負ける体たらくです。SDRAMに負けるって一体。

[3]StreamD

メモリ速度を測定します。数値の単位はMB/sです。

A7N8X	COPY32	COPY64	SCALE	ADD	TRIAD
	969.70	969.70	1066.67	1156.63	1170.73
A3-M275	COPY32	COPY64	SCALE	ADD	TRIAD
	551.72	615.38	581.82	671.33	648.65

これもその差は歴然としています。いずれも倍近い差が出ており、平均で1066MB/sとかなり高い値になっています。しかし1000超えなんて、自宅の装置では初めて見たなあ。

[4]Memspeed

これも同様にメモリ速度を測定します。L2キャッシュから外れる512KB以降を対象とし、数値の単位はMB/sです。

A7N8X	512KB	1024KB	2048KB	4096KB	8192KB
	742.62	520.90	471.69	449.26	440.02
A3-M275	512KB	1024KB	2048KB	4096KB	8192KB
	443.75	284.55	251.10	239.07	230.66

これまた倍近い差が出ています。というかA3-M275がいまいち過ぎるのかも。

[5]Winmembw

メモリ帯域を測るベンチマークです。L2キャッシュから外れる512KB以降を対象として、平均を取った値をベンチマーク結果としています。

	Read	Write	Copy
A7N8X	680.13	725.83	935.19
A3-M275	461.00	409.05	553.64

これもかなりの差が出ています。値としてはやたらといい値が出るPentium4プラットフォームでの845+SDRAM/PC133くらいをたたき出しています。AthlonMPDualよりもいい値が出ているのが驚きです。

[6]3DMARK2000V1.1

これは今となってはプロセッサの力をどれだけ引き出しているかを見るベンチ？

	3DMARKS
A8N8X	10401
A3-M275	8960

なんか勝負自体がかわいそうになってきました（笑）10000超えられるとなあ。スコアに1500も差をつけられるとなんとも。

[7]3DMARK2001SE-Build330

こっちは総合力を見るベンチです。3DMARK2003はDirectX9が出てからですかねえ。

	3DMARKS
A7N8X	8722
A3-M275	7531

なんか1200も差がついてしまいました。メモリとマザーを換えただけでこれだけ差が出るとなかなか気持ちがいいかも。

[8]Superπ104万桁

計算速度を測ります。メモリの速度も大きく影響します。

	計算時間
A7N8X	1:12
A3-M275	1:24

12秒も差が出ました。ちなみに3355万桁は1時間32分程度で、もうちょっとクロックの高いプロセッサを載せれば1時間20分台は楽に達成できるでしょう。

[9]FinalFantasyXIベンチ

SquareのオンラインゲームFinalFantasyXIの動作目安として配布されているベンチマークです。4000を超えれば快適というんですがはてさて。

	Score
A7N8X	4662
A3-M275	3905

700も差が出ましたが、A3-M275で4000超えができなかったのがちと残念です。この結果によるとA7N8XではFFXIは快適に動くというんですが、その前にRadeon8500じゃなんか表現が変な気がします。どうせSquareはGeForceシリーズで最適化したか他で検証してないかどれかだろうしなあ（待て）

[10]総評

なんか今回はA3-M275の「つるし上げ」みたいになってしまいましたが（笑）逆にいえばA7N8Xの性能の高さをまざまざと見せ付けられた結果でもあります。AMDのAthlonXP/FSB166MHzのリファレンスシステムに採用されたくらいのことはあり、その実力は海外でのプレテストの結果を見ても、現地点では明らかにAthlonプラットフォーム最強です。

しかし手放しで褒められるわけではなく、まだメモリの使い方が下手な感じで、実効値が思ったよりも低いといわざるを得ません。しかしこれについては使用しているAthlonXPが1700+と遅いこと、ホストバス帯域が2.1GB/sしかないことも原因で、これをFSB166MHzの2600+などに変えればまた違った結果が出てくると思います。nForce2にはFSB133MHzのAthlonXPは「役不足」なようです。あと実はDDR333-2chのほうが速いんじゃないかというKT400のような説があり、これについては次回レビューしたいと思います。

あとはこれはいわゆる「相性」の問題なのですが、ASC-29160NがSCSI-HDDをスキャンし損ねるというのは個人的にはいただけない点です。BIOSの改修が望まれますが、前述の通りこんなのを乗せる人なんかいないだろうから、ASUSも気づかないまま？

今回は「その１」ということでメモリ周りに関するレビューをしましたが、次の「その２」では3D系のベンチマーク、DDR266/333での性能差、SouthBridgeであるMCP-Tの機能を主に取り上げていきたいと思います。いやあ、久しぶりにレビューねた盛りだくさんなマザーだな、こりゃ。

余談１・AthlonXPってどうよ？

某所の掲示板で「AthlonXPなんてエロゲーのためにあるものである」と放言したら、知り合いから突っ込みがきました（笑）つーか、いまだに大手メーカのIA-WSやIAサーバに採用されないプロセッサってどうよっていう話。そもそもプロセッサ自体の信頼性が低く、760MPXのAMD-768バグ騒ぎがあって印象が悪くなり、どこも採用をしり込みしてるっていう噂も。

K8マルチプロセッサについては、Opteron(SledgeHammer)を多数並べたCrayのベクトル型スパコン"RedStorm"システムに採用されるようです。しかしDualプロセッサではClawHammer-DPがキャンセルされてOpteron-DPが穴を埋めることになり、それまでしばらくはBartonMPでDualプロセッサ市場を戦うことになったAthlonMPの今後は果たして。AthlonMPQuadのIAサーバなんてのが存在するらしいんですが、チップセットを独自に起こしたのかしら。

となると、やっぱりSingle用のAthlonXPってエロゲーを遊ぶためにあるんじゃなかったんか説が浮上してくるわけで（待て）

余談２・法螺を吹くのはやめようぜえ、正直に（？）

「パーソナルコンピュータ(以下PC)を主にどんな用途で使っているか？」という質問には、ユーザの多くが(多分大半)「Webページ閲覧とメール交換」と答えると思います。これは1000人のPCユーザを対象にアンケートを取ったとしたら、多分８割以上がそのような答えを返すでしょう。

しかし私のような「PCはゲームやるために存在するのであって、あとの用途などおまけに過ぎん」という、まあこれは極端な例にしても違った用途、ゲームメインの人もいるわけです。先日発売されたFinalFantasyXIは組立マシン市場の活性化とまで言われるくらいで、GeForce4Ti4200が飛ぶように売れているとか。(ここで「活性化というか、単にプログラムが下手か手抜きなんじゃねえのか？」などと毒づくとみもふたもないんだけど)

んでGeForce4Ti4200。PCでゲームを結構やる人は大抵これくらいのクラスのボードは持っていて、Radeon8500LEなんかも結構見かけます。機能も速度も画質もという人だとParheliaもたまに見かけます(私はこのパターン)
しかし逆に「ゲームはしない、グラフィックボードの3D性能なんて二の次」というユーザはG200/G400/G450/G550、Radeon7500/7200やGeForce2MXクラス、人によってはオンボードグラフィックなども見かけます。某所の秋葉原店員へのアンケートでは、多くの人が「ゲームはしない」という理由でG200/400世代を使いつづけているとか。今でもG400を使っている人は多いようです。

しかし、ここで「ゲームはしない」というのはどの範囲までさすのかというのが問題で、特に「その筋」(秋葉原のパーツ店店員など)の人なんかは、口でそういっておきながらエロゲーはしっかりやってたりするから困ったもんだ。エロゲーといってもゲームなんだから、素直に「ゲームは2Dゲーは少しやるが、3Dゲーはやらない」くらい答えれば特に差し障りないものを、一体何をごまかそうとしているんだろうか。むしろ見苦しいぞぉ。

要するに、別にどの分野のゲームを遊んでいるかということは言わなくてもいいから、PCでゲームをやっているというのは事実なんだし、それについては正直に言おうぜぇということなんだけど、何をひた隠しにしようとしてるんだろうなあ。
「一般的なPCユーザ」を標榜しようとしているんだとしたらそれこそ「断じて否」なんだけど、「実態が伴っていない回答に意味はあるんでしょうか？」と、夏が舞台の作品に出てくる成績学年1位の天文部部長兼部員風に言ってみたりする。

まあ嘘はいかんぞ正直に、と。え、わし？ゲームは何でもやりますぞぉ、ヘヴィな3Dゲーから一般2Dゲー、エロゲーでも何でもござれですわい。「ゲームは面白ければそれでよい」の姿勢なんで、ゲームジャンルに貴賎はないと思っております、はい。

2002年10月2日

国内初かも？RadeonIGP 320Aマザー「A3-M275」レビュー

Athlonのチップセット業界は前の独り言でも書いたように選り取りみどりな状態で、えり好みしなければ何を選んでいいのか分からないといったくらいに数多くのチップセットが登場しています。FSB133MHz（データ266MHz）が利用できるチップセットを取ってみても、古くはKT133A、新しくはSiS745やKT400、マルチプロセッサでは760MPXなどと、スペックを見ているだけでも迷ってしまいます。
そんな中、ひねくれ者の私としては例によって、「誰でも組み立てるような構成のマシンはいらん、実用的なのは重要だがどうせ趣味なんだから、誰もが見向きもしない・見向きもしなかったものを使った凝り固まった構成がよい」という「哲学」に則り、Athlonプラットフォームでは以下のような構成しか考えていませんでした。

・SlotAのAthlon1GHz(K7かMagnolia、理想はThunderbird1GHz）
・nForce2+DDR400-2ch
・RadeonIGP 320A(でも諸事情で近づきたくないかも)

このうち、SlotAのAthlon1GHz(K7コア)については先日偶然入手し、K7M Rev1.04(ASUS、AMD-751+VIA VT82C686A)にて組立が完了しました。しかし、Radeon8500/64MBを搭載した状態で3DMARK2001SE-Build330の標準設定での3DMarksは6067、Superπ104万桁は3分4秒と、同じ1GHzでも単純比較はできないがPentiumIII1.0BGHz+８４０+RDRAM2chにボロ負けという状態でした（K7-1GHzが出た当時だと、PenIII1.0B+８２０+RDRAMにも負けていた）L2が333MHz動作、メモリがPC100のSDRAMであることが特に影響しています。

そんなわけで、もともとAthlonには興味があった上、褒めるにしてもけなすにしても、一度はSocketAのAthlon使ってみないといかんだろうと思いつつ、ふと知り合いと秋葉原を歩いていると、どういうわけかRadeonIGP 320AマザーとAthlonXP1700+を手にしていました（待て）

というわけで、今回はRadeonIGP 320Aマザーをレビューしようと思います。

RadeonIGPはPentiumIII/Pentium4/Athlonの3プラットフォームに対応したチップセットで（実質フロントサイドバスを変えるだけ）、RadeonVEにあたるRV100をNorthBridgeに統合しています。SouthBridgeは南北をA-Link(266MB/s)で接続されるATiのIXP200/250のほか、南北PCI接続でVIAのVT82C686B、ALiのM1535D+などが利用できます。IXP200/250はともかく、VT82C686BやM1535D+は今となってはスペック的に見劣りする感が否めず、RadeonIGPもDDR333サポートのチップセットが出回る中DDR266とまりで、この辺りも組立ユーザへの訴追力にかける部分があります。RadeonIGP 320がAthlon向け、RadeonIGP 340がPentium4向けになっています。余談ですが、PentiumIII向けのRadeonIGPマザーは開発したもののほとんど市場に出回らず、「幻のマザー」となっています（出てたらほしかったんですが）

Athlon向けのRadeonIGPマザーは現在２種類出ており、SouthBridgeにVT82C686Bを採用したFICのAT31、M1535D+を採用したSAPPHIREのA3-M275があります。いずれもMicroATXで価格も安く、省スペースバリューPCをターゲットにしていると考えられます。ちなみにSAPPHIREについてはATX版（A3-A275）もあり、国内代理店アスクにも紹介ページは掲載されているんですが、国内流通がいつになるかは不明です。

今回購入したのはSAPPHIREのA3-M275のほうで、ユーザーズサイドで半額販売していたところを捕獲しました。AT31のほうはレビューがあがっているのですが、A3-M275に関しては探したところ国内でのレビュー記事は見つからなかったので、当Webページで行うことにしました（単純にこのマザーがぜんぜん売れていないだけかもしれない）

A3-M275はAGPx1、PCIx3、オンボードAC'97サウンドという構成で、AGPの注意点として1.5V動作のボードしか対応していません。しかしAGP自体はUniversal AGPの形状をしており、3.3VのAGP2X対応ボードも挿せてしまいます。これは注意点というか、「設計者出て来い」状態です。また、MicroATXマザーは最近だとLANとサウンドオンボードが当たり前なのですが、このマザーに関してはLANがオンボードではありません。よってNICをPCIに挿すことになり、PCIスロットを1本消費することになります。この点も減点対象です。
レイアウト面で言うと、フロントパネルのジャンパが電源コネクタの近くにあり、非常に作業がしにくいです。他にもAGPの延長線上にDIMMスロットがあり、ボードによってはぎりぎり干渉するかどうかという状態だったりと、余り褒められたものではありません。この辺りは、ASUSやGigabyteといった老舗と比較して、SAPPHIREの「素人」ぶりが見て取れます。SupermicroやTyanなどとは比べるべくもありません。今後の更なる精進に期待です。

導入自体は簡単で、付属CDからRadeonIGPのチップセットドライバを入れればそれで完了です。。RadeonIGPのドライバはなぜかATiにおいてありません（探し方が悪かったからかもしれない）SouthBridgeのM1535D+のドライバはOSが持っているため不要です。M1535系は職業柄いじることも多いため、素性がわかっている分互換チップセットでも安心できます。ちなみにRV100はドライバ導入すると「A3」と表示されます。

今度は性能面についてのレビューです。RadeonIGPは前述の通りRV100をNorthBridgeに統合しており、そのままスロットに何も挿さずに使うことも可能です。グラフィックメモリはメインメモリと共有し（UMA）8MB〜256MBまで選択できます。実用的な容量は16〜32MBでしょう。

今回はこのオンボードのRV100を有効にしたときのグラフィック及びメモリ性能について着目し、Radeon8500を搭載したときと性能差がどれほど出るのかを比較します。試験環境は以下の通りです。

プロセッサ	AthlonXP1700+(1.47GHz)
メモリ	PC2100/CL=2.5 DDR-SDRAM 128MBx2=256MB
グラフィックボード	ATi Radeon8500/64MB(onboard:RV100)
UMAメモリサイズ	32MB
LAN	Realtek RTL8139
SCSI I/F	Adaptec ASC-29160N
HDD	Seagate ST318437LW
CD-ROM	東芝 XM-6302B+SONY CDU948S
Sound	AOpen AW320
DirectX	8.1b
画面解像度	1024×768-32bitColor/70Hz

なお、オンボードRV100+UMAメモリサイズ32MBを「RV100」と略表記します。

ドライババージョンは以下の通りです。

RV100	Radeon8500
5.13.1.6094	5.13.1.6118

[1]Sandra2002 1.8.59

Memory Bandwidth Benchmarkでのメモリ帯域の測定を行いました。

	RV100	Radeon8500
RAM Int Buffered aEMMX/aSSE Bandwidth	1181MB/s	1329MB/s
RAM Float Buffered aEMMX/aSSE Bandwidth	1132MB/s	1257MB/s

RV100はわかるとしても、外部AGPを使ったRadeon8500の状態でのメモリ帯域の実測値が少し低いように思えます。1400MB/sくらいはたたき出してもよさそうなもんですが、チューンが甘いんでしょうか。

[2]HDBENCH3.40b6

メモリ項目を抜き出しての比較です。

	RV100	Radeon8500
MemoryR	14638	15000
MemoryW	26052	26569
MemoryRW	27541	27434

RV100でもRadeon8500でもあまり値が変わらないのが優秀（？）です。しかしAthlonXPのプラットフォームにしてはやはり低いといわざるを得ません。

[3]StreamD

メモリ速度を測定するベンチマークです。数値の単位はMB/sです。

RV100	COPY32	COPY64	SCALE	ADD	TRIAD
	556.52	615.38	581.82	671.33	648.65
Radeon8500	COPY32	COPY64	SCALE	ADD	TRIAD
	551.72	615.38	581.82	671.33	648.65

ほぼ値が変わりません。しかし誤差程度とはいえ、COPY32の項目がRV100の時のほうが速いのが少し気になる？

[4]Memspeed

これも同様にメモリ速度を測定します。L2キャッシュから外れる512KB以降を対象とします。数値の単位はMB/sです。

　

RV100	512KB	1024KB	2048KB	4096KB	8192KB
	451.39	289.18	255.38	240.17	229.10
Radeon8500	512KB	1024KB	2048KB	4096KB	8192KB
	443.75	284.55	251.10	239.07	230.66

今度はRV100の方が4096KBまでリードしています。UMA型だとメモリ速度は遅くなるはずなんですが、RadeonIGPってメモリの使い方が何か変？

[5]Winmembw

メモリ帯域を測るベンチマークです。L2キャッシュから外れる512KB以降を対象として、平均を取った値をベンチマーク結果としています。

	Read	Write	Copy
RV100	441.53	399.30	530.62
Radeon8500	461.00	409.05	553.64

ここでは差が出たようです。にしてもやはり値が低いです。Athlon+DDR-SDRAMプラットフォームのリファレンスであるAMD761にもボロ負けの値で、KT266AやnForce420などでは相手にならない低さです。

[6]3DMARK2000V1.1

これはメモリよりむしろオンボードRV100の性能を見るのに使います。

	3DMARKS
RV100	2728
Radeon8500	8960

オンボードなのでこんなものなんですが、あまり高い値とはいえません。参考程度ですね。

[7]3DMARK2001SE-Build330

これもオンボードRV100の性能を見るのに使います。

	3DMARKS
RV100	1543
Radeon8500	7531

オンボードにしてはそこそこ健闘しているように思えます。PentiumIII1GHz+G400MAX程度の3D性能はあると見てもいいかと思います。だからといって3Dゲー用途とはとてもいえませんが。

[8]Superπ104万桁

計算速度を測ります。メモリの速度も大きく影響します。

	計算時間
RV100	1:23
Radeon8500	1:24

なぜかRV100のほうが1秒早い結果になっています。Radeon8500のほうは、何度測っても1:24から変わりませんでした。謎ですなあ。

[9]RV100の画質など

グラフィック統合型の場合、以前ほどではないにしろ大抵オンボードグラフィックが吐く画質はたいしたことないのですが（nForceのオンボードNV11みたいにLCDでも見ていられない画質もある）、A3-M275に関してはシャープネスは並、発色もRadeonの特徴そのままであり及第点といえます。しかし例によってフルカラー時のスクロールが遅く、ハイカラー環境で使用したほうがよい感じです。

ゲームに関してはほとんど試していませんが、こみっくパーティーとまじかるアンティークの２つを走らせたところ、特に描画が遅いなどの問題は見受けられませんでした（ってWinNT4.0で走るしあまり参考にならんともいう）さすがにUnrealTournament2003DemoをRV100で遊ぶ気にはなれませんでした。どの道、このオンボードRV100にゲーム性能は期待してはいけません。少なくとも、組立ユーザがこのオンボードRV100を使うことはないと思われます。

[10]総評

今回はATi初のチップセットを搭載したマザーをレビューしましたが、感想としては「今後の精進あるのみ」といったところです。メモリアクセス速度がAthlonシステムにしては遅く、またオンボードRV100の性能もUMAゆえの低性能で、いずれも今後のチューンが期待されますが、これらの点から組立ユーザには現地点では受けにくいと思います。じゃあ省スペース志向のユーザにはいいかというとそうでもなく、このA3-M275に関して言えばMicroATXにしてLANがオンボードでないことが落第点です。

そもそもATiがRadeonIGPでどのセグメントを狙っているのかも曖昧で、VIAみたいにフルレンジ対応でもなく、SiSやnVIDIAみたいに性能や（見かけだけでも）スペック至上主義というわけでもなく、AMDのようにマルチプロセッサ対応というわけでもありません。多分ローエンドを見据えているのでしょうが、RadeonIGPのスペックだけを見ても、オンボードでRV100が乗っている他に取り立てて特徴があるわけでもなく、スタンドアロンのチップセットとして使うにしても遅いとあっては強いて選ぶ理由も見つかりません。そんな状態なだけに、新規製品とはいえA3-M275やAT31などという中途半端な製品が出てしまいます。今後他のメーカからもRadeonIGPを採用したマザーが発売されると思いますが、ATX版のマザーに仕立てたとしても、この速度のままなら果たして売れるのかどうか疑問です。

グラフィック統合型チップセットは、nForceを除けばもともとあまり速度を重要視していないものが多いので、「こんなもんだろう」といってしまえばそれまでなのですが、もうちょっと何か訴追するものがほしいなあ、と思った次第です。

とこのようにぼろぼろに書いてますが、実はなんだかんだ言って結構気に入ってたりします。どこもA3-M275のレビューをあげていないということは、裏を返せば「ぜんぜん売れてない」と同義でもあり（新品が半額投売りだったことも売れなかったことが伺える）、その点が私としては逆に気に入ってしまいました（笑）

まあ、普通にAthlon使いたい人や、性能求めたい人はRadeonIGPなんか選ぶ理由はないので、KT333/400やSiS746やnForce、堅実に行くならちょっと古いけどAMD-761、統合型がお好きならProSavageKM266あたりを使ってくださいな。

えっ、次はって？次はATX版のRadeonIGPマザーか、nForce2+DDR400-2ch、A7N8X(ASUS)狙いですかねえ。特に後者はFSB166MHz（データ333MHz）対応で大本命だったりして。

2002年9月20日

Parheliaが我が家にやってきた

前回から２週間くらいG400MAXを使ってきましたが、結局我慢できなくなってParheliaを買ってしまいました（笑）コアクロック/メモリクロックが220/275MHｚ版の英語リテール版で、42800円でした。給料日２日前にして、あのてぐすね引いて待っている誘惑と、ボードが放つオーラには勝てませんでした（待て）というわけで、今回はこのParheliaについてレビューしたいと思います。

考えてみれば、ここで出てさほどたっていない注目製品のレビューを書くのは初めてなんですが、こういうねたはやはりあったほうが読み手としては面白いだろうということで（書き手の腕はへったれですが（笑））

Parheliaの素性についてはあちこちで紹介されてますのでここでは詳しく述べませんが、特に目新しい部分を挙げると、

・Gigabitカラーサポート（各色10bit-depth）
・メモリバス256bit接続
・３画面同時出力対応
・AntiAliasing-16sample対応
・DirectX9に部分対応

といったところです。あとこれは機能ではありませんが、ボードのプリント板がとにかく綺麗です。ここまで綺麗なプリント板は、PC向けパーツではなかなかお目にかかれません。

このようにいろいろと魅力的な機能を持つParheliaですが、問題は如何せん値段が高いことです。コア/メモリクロックが200/250MHzのFirstRelease版は7月頭出た地点で6万円を超えており、グラフィックボードとしてはちょっと手を出しづらい価格です。しかし私みたいに、「それだけの払う価値はある！」と思う人はやはり買うのですが、いわゆる「一般」のユーザにはやはり勧めづらいです。むしろGeForce4MXやRadeon7500あたりを勧めるでしょう。

というわけで、まずは画質から。特徴としては傾向としてはいわゆる「Matrox」ですが、G400やG450と比較して、発色が落ち着いた気がします。むしろ不自然さが消えた感じで、見やすくなっています。描画速度も非常に速く、絵もシャープに出るため、2Dに関してはかなり高い評価を与えたいです。この2D速度で不満が出ることはほとんどないかと思われます。1600×1200でもまったく破綻しません。

次は一部の人が気になる3D速度ですが、雑誌やハードウェア系サイトですでにレビューが上がっているように、大体「Radeon8500程度かそれ以下、高解像度アンチエイリアシングありだと、GeForce4Ti4600に迫る」といったところで、G400MAXが出た当時のように、ぶっちぎりに速いというわけではありません。
そこで、当Webページでは少し視点を変えて、現在も比較的多くのユーザが存在し、Parheliaが出るまで事実上のMatrox最速モデルだったG400を基準として、ParheliaがG400と比べて3D性能でどれだけ向上したのかを見ていこうと思います。本当はG450やG550とも比較したいのですが、私の手元にあるG450はSDRAM16MBで比較に耐えうるものではなく、G550は所有していないのでこれらについては割愛します。

今回は基準としてG400で最速モデルのG400MAXを選び、それとParheliaを比較します。つまり、G400MAXからどれだけ性能が伸びたのかを調べ、G400シリーズを使っていてParheliaを買うかどうか迷っている人の参考になれば、というわけです。

検証環境は以下のとおりですが、さすがに古さは否めませんし、パワー不足も明らかです（笑）
でもこれしかないんで、勘弁してくださいな。本当はPentium4-2.53GHz＋８５０E+RDRAM/PC1066くらいの環境でやりたいんですけど、予算がないのがなあ。

なお、G400MAX＝1として、Parheliaのベンチ結果/G400MAXのベンチ結果の値を「速度向上率」としています。

ドライババージョンは以下の通りです。

[1] 3DMARK2000V1.1

もはや古くなりつつあるDirectX7世代のベンチマークですが、まだあちこちで使われているため計測しました。条件はデフォルト設定の1024×768-16bitカラーです。

思ったほど値は伸びていません。G400MAXの倍以上を期待したんですが、1.5倍程度の向上にとどまっています。ちょっと意外でしたが、Radeon8500でとったときも確か6000だかそこらだったので、マシンパワーがないだけ？

[2] 3DMARK2001SE Build330

現在でも主流のDirectX8世代の3Dベンチマークです。DirectX9世代の3DMARK2003が出るとか出ないとか。測定条件はデフォルト設定の1024×768-32bitカラー、DXTC有効です。

高負荷環境になると、グラフィックボードの性能差がもろに現れてきます。G400MAXの3.5倍程度の性能が出ています。HardwareT&LがG400MAXにはないので（といってもParheliaの場合はVertex Shaderによるエミュレーションだが）差が出るといえばそうなんですが、値としてはポストDirectX9のボードとしては低い感じです。
ちなみにRadeon8500で測ってみたら6200程度でした。ここには出ていませんが、FillRate-MultiTexturingが圧巻で、見ているとRadeon8500よりぐりぐり動いています。

[3] QuakeIIIArena

OpenGLベースの性能を見るときに必ずといっていいほど使われます。解像度と色以外は標準設定で、平均のフレームレートを計測しています。

640×480ではどういうわけか逆転していますが、800×600からどんどん差がついていき、1280×1024-32bitカラーでは３倍以上のフレームレートの差が出ています。フレームレートの動きを見ると、G400MAXは負荷がかかったところでがくっと落ち込みますが、Parheliaは落ち込みの度合いがかなり少ない感じです。高解像度でも低解像度のフレームレートを維持していますが、これ単純にプロセッサパワーが足りてません。2GHｚ程度のシステムなら、800×600程度なら平均150fpsは出てもおかしくありません。

[4]夏海ベンチ1.3

HardwareT&L対応のフリーソフトのベンチマークです。ボードの機能によっては、HardwareT&LとPure HardwareT&Lの２種類がHardwareT&Lとして選べます。「フリーだから・・・」なんてなめてかかると実はかなり厳し目のベンチマークで、デモを流してみると分かるんですが、へぼいグラフィックボードで走らせるとフレームレートがぼろぼろです。GeForce2GTS以上はないと厳しそう。頂点処理は、G400MAXがSoftwareT&L、ParheliaがPure HardwareT&Lを選んでいます。

少し解像度を上げただけで、いきなり差が出てきます。つまりそれほど重いベンチだということですが、ここで、16SampleのFAAモードを使い、解像度を1600×1200にして参考値を見ると、スコアの落ち込みがそこまでひどくありません。ここがParheliaの売りで、16SampleでAntiAliasingをかましても速度低下がそこまで落ちません。

[5]GL EXCESS1.2

OpenGLの性能を計測するベンチで、単純なメガデモとしても結構綺麗です。・・・・が、G400MAX、Parheliaいずれもベンチが走りませんでした。G400MAXはともかく、Parheliaではベンチ自体は走るものの、最後のScene12でそのままとまってしまいます。というわけで保留です。

[6]N-BENCH2.0

Athlon系システムに有利な結果が出るようになってますが、これも走りませんでした。「走らない」というよりは、テクスチャ化けが起こったり、走らないベンチがあったりして、ベンチ結果としては使えないと判断しました。

[7]画質など

画質についてですが、前述の通りいろんな意味で「Matrox」な絵であり、シャープなことも発色が濃い傾向にあることも同じです。ただ、濃いとはいってもG400までにあったような、いかにも作ったような感じの発色はなくなり、不自然さを取り除き落ち着いた感じになっています。逆に言うと「らしさ」が多少薄れたような気もします。
3Dの画質については、FAAの16Sampleモードが結構効果を発揮します。これをかますことによってテクスチャのジャギーが薄れ、しかもさほどフレームレートが落ちません。ためしに夏海ベンチで16Sampleモードにしてみましたが、確かにノーマルモードと比べて綺麗になっています。

あとはゲーマーが気になる実ゲームでの振る舞いについては、以下の作品で特に問題が見当たらないことを確認しました。

・QuakeIIIArena
・GuiltyGearX
・式神の城
・Zwei!!
・Sorcerian Original
・Party's Breaker
・Glove on Fight
・Eternal Fighter Zero-BlueSkyEdition
・まじかるアンティーク

Radeon8500で起こっていたような一部ゲームの変な動作（SorcerianOriginalのオープニング描画爆速や、GuiltyGearXのゲーム爆速動作；こちらについては設定を変更することで直る）は今のところ見つかっていません。ほかのParheliaをレビューしているWebページを見ても、3Dゲームでの不都合は見受けられないと書かれているあたり、ゲームに関しては出始めの頃のドライバにしては不都合が少ないのではと見ています。

ところでParheliaの2D面の売りのひとつであるGigabitカラーについてですが、当環境ではどういうわけかPowerdesk-HFが起動せず、これについては保留せざるを得ませんでした。WindowsXP環境下におけるPowerdesk-HFの注意書きもあったのでそれにも従ってみたのですが、結局起動せず。というわけで、まだGigabitカラーについては試していない（試せない）という状態です。かなり気になるんですがねえ。

[8]総評

以上いろいろとやってみましたが、総合的な結論としては「高い金を出して買ってよかった」と思っています。2Dも高速で3Dも十分な速度を発揮し、実際のゲームも不自然なところは今のところ見られず、しかもMatroxの画質とあって非常に満足な結果となりました。一部のベンチマークが走らないのは改善の余地ありですが、これも時間が解決してくれるでしょう。まだ出てから実質２ヶ月程度なので、ドライバの出来を云々するのはまだ時期尚早でなはいかと思います。

じゃあ逆に人に勧められるボードかというと、実はそうでもありません。最近は大分値が下がってきましたが（FR版中古だと30000円台前半で買える）やはり値段が問題で、9月14日で見たところでは日本語版リテールは50000円近い値段がついています。この値段だとGeForce4Ti4600や、ついこないだ出た最速グラフィックボードRadeon9700Proが買えてしまうという現実があります。例えば５万円の予算で高速3Dのグラフィックボードを買いに来た人がいたとして、GeForce4Ti4600、Radeon9700Pro、Parheliaの３つを並べたとき、選ぶときに何が判断基準になるかというと結局3Dベンチマークの値です。その中でParheliaははっきり言って分が悪く、買いに来た人が画質も特に重視する人でないかぎり、多分GeForce4かRadeon9700Proを買っていくでしょう。買いに来た方も「画質もよくて3Dも結構速いよ」と言われるよりは（内心「画質のよしあしは俺が決めるんだよ」と思ってるかも）、「3DMARK2001SEで、お前が使ってるやつだと5000くらいしか出ないのが、これだと9000くらいは出るよ」といわれた方が判断しやすいのが心情というものです。実際、知り合いのパーツ店店員の話では、Paheliaは値段もさることながらベンチマークの値が低いのであまり売れていないそうです。

今の、というよりはGeForce256が出たあたりから、グラフィックボード業界はどうもベンチマークにとらわれすぎているようなきらいがあり、ベンチマークで優秀＝よいボード、あまり値がよくない＝よくないボードと決め付ける風潮すら見受けられます。Parheliaをとってみても、雑誌やPC系サイトのレビューを見ると「機能面を求める人にはお勧め」などと、なんか苦しい書き方がされています。その癖、GeForce4みたいなベンチマークでいい値をたたき出すボードは手放しで褒め記事書くんだよなあ。

あと、実際のゲームを動かしたときの評価が思いのほか少ないように思えます。すべてのゲームを検証するのは当然不可能ですが、せめて手元にあるゲームを４〜１０種類くらい走らせてみて、不都合があるかどうかという検証はあったほうがよいのではないかと思います。DirectXは基本的にはゲーム用であり、いくらDirect3Dベンチマークが速くても、実際のゲームがぼろぼろだとしたら大問題です。私がゲームの動作を引き合いに出すのは、この点を重視しているからです。

なんか本題から壮大にずれてきて愚痴になってきたので強引に本題を戻すと、2D/3Dともに十分な性能を持ち、かつMatroxならではのシャープな画質、TripleHeadや16SampleでのAntiAliasingなどの独自機能を持ったParheliaは個人的には「お勧め」であり、G400から乗り換える意義は十分にあると確信しています。しかし、Direct3Dの更なる速度がほしいという人はGeForce4Ti4600かRadeon9700Proを選んだほうがいいでしょう。

まあぶっちゃけた話、Matroxが好きかどうかにかかってくるんですが、この板に関しては買っても損はしないと思いますよぉ。

おまけ・久しぶりの「鯖下」、SavageIXを買ってみた

VIPERII(DiamondMultiMedia)、GA-S2K32/PCI(IODATA)、Inno3D Savage2000(InnoVision)以降、Savage系単体ボードは姿を消し、グラフィックボード業界からしばらく鳴りを潜めていましたが、そんな状況の中久しぶりにSavage系チップの単体ボードが発売されました。

その名は「S3 298/8M」というもので、SavageIXを搭載したAGPのグラフィックボードです。SavageIXはノート用に99年に開発されたチップで、2D:Savage2000、3D:Savage4改良版というコアになっています。東芝のDynabookなどに多く採用されており、IBMのThinkPadにも採用実績があります。余談ですが、グラフィック統合チップセットではPentium4向けのProSavageP4M266、Athlon向けのProSavageKM266などがあり（いずれもProSavage8統合）、この分野ではSavage系コアは現役を張っています。

モバイル用のグラフィックチップであるため、単体ボードでの販売は今までなかったのですが、つい先日Mercurioから、SavageIXを搭載したボード「S3 298/8M」が発売されました。Savageウォッチャーとしてはこれを見逃す理由はないため、早速購入してきました。テレビ出力ありと無しのモデルがあり、今回はなしのモデルを買いました。価格は1799円で、新品のグラフィックボードにしては格安です。画像メモリはコア統合でSGRAM8MB、ヒートシンクレス（！）、ボードはSavageIXチップとVGA-BIOSが入っているオプションROMチップが乗っているだけの簡素なボードです。

画質についてですが、「Mercurioってどこだ？」（その実バーテックスリンク）ということもあり、はっきりいって期待していませんでした。ところが思いのほかなかなか抜けのいい絵を出し、いい意味で裏切ってくれました。シャープネスは十分実用レベルを持っており、発色についてはやや濃い目で、気持ち程度青が強い感じです。S3健在、といったところでしょうか。ちなみに、通常表示できる解像度はWin2000＋S3リファレンスドライバだと1024×768までで、1280×1024などにすると仮想表示モードになります。この辺りの振る舞いがノート用チップらしい？

GDI速度はフルカラー環境でははっきりいって遅く、ハイカラー環境で使うべきチップといえます。動画再生は発色は問題ないものの、フルカラー環境で再生するとものによってはこま落ちがひどくなります。640×480サイズのアニメーションAVIなどは、見ていられないくらいのフレーム落ちです。640×480サイズの30fpsのAVIが、7〜10fps程度で動く有様。画像メモリが8MBではやはり足りないのでしょう。

DirectXについてはチップがチップだけにまったく期待できず、せいぜい軽い2Dゲームが関の山です。軽い2Dゲーということで、試しにまじかるアンティークとはじめてのおいしゃさんを走らせてみましたが（すぐに出せる軽い2Dゲーがこれくらいしかなかったんだぁ）これらについては実用速度で遊べることを確認しました（まじアンの五月雨堂内のアニメーションは少し遅いけど）というわけで、２つしか試していませんが、これらのような軽い2Dゲーに関してはさほど問題はなかろうかと思います。
Direct3DについてはDirectX6世代なので、はっきりいって話になりません。試しに、PentiumIII600Dual(P3C-D)＋Win2000SP3のマシンで3DMARK2001SEを走らせてみたら3DMarksは183・・・画像メモリ8MBだし、HardwareT&Lもないのでこんなもんです。

というわけでこのSavageIX、ハイカラー環境の作業用ボードとして使うにはそんなに悪くないのではないかと思います。ただ、作業用というのなら無理に選ぶ理由もなく、フルカラー環境で使っている人も多くなっているので、やはりSavage系チップのコレクターくらいしか受けなさそう。

written by 98.All rights reserved.